裁判に向けてのアピール

2010年2月21日
 それでも、プルサーマルは始まってしまいました。
 関西電力の自主検査において不合格となった、メロックス社製のMOX燃料と同じレベルのものが、玄海原発プルサーマルで使用されている可能性があります。今まさに原子炉内で燃やされているのです。

 私たちはこれまで一貫して、九電はもとより、県、国に対しても、プルサーマルに関する様々な危険性についての説明を求めて来ました。要望書、直接交渉、説明会。考えられるあらゆる手段を使って。プルサーマル発電の、まさに核となるMOX燃料に至っては、よりいっそう深く。

 しかし、納得のいく説明も、データの開示もないままに、まさに出し抜けのGOサインでした。安全性は確認された、の一点張り。九電のMOX燃料には、安全に関わる基準の数値はなかったのではないですか?しかもその数値は、通常ウラン燃料の場合より、安全性において厳格化されるよりむしろ緩和されているのではなかったですか?

 私たちの落胆と憤りの大きさは、計り知れません。
 もんじゅの再開容認。頻発する燃料棒からの放射能漏洩事故。国や電力会社は、何を焦っているのか、安全が蔑ろにされていると思えてなりません。そして、玄海と同じように、市民の声を黙殺する形で進みつつある伊方のプルサーマル。私たちは、その足下に生きているのです。何故見えないのですか、何故聞こえないのですか。

 大きな力を持つ電力会社や行政に、一般の市民を無力感の底に突き落とすような横暴が、容認されて良いのでしょうか。NOです。事ここに及んで、玄海原発プルサーマルを止めさせるために出来る事は何か。私たちは、粛々と、裁判を選択しました。唐突にではなくこれまでの運動の自然な帰結として。


 私たちは、ただの市民です。何の力も、何の専門知識も持ち合わせない、あたりまえの生活者です。そんな私たちが、切実にNOを訴える。ここにこそ本当の意味での裁判の役割があるのだと考えます。多くの方々の協力で、ようやく此所まで辿り着く事が出来ました。

 殊更に正義を振りかざすつもりはありません。

 取り戻したいだけです。プルサーマルといういたずらに危険と不安を増幅させる、得体の知れないものがなかった頃の生活を。

 私たちの抱いている不安を払拭してもらいたいのです。

 私たちの、掛け替えのない生活を守るため、裁判に訴えます。

 もう既に、私たちだけの問題ではなくなりました。使用済み核廃棄物は、将来においても処理できる見通しは立っていません。

 どうか、自分の問題としてもう一度考えていただいて、共感して頂ければとても嬉しく思います。

 そしてこれから、世界中で市民がNOの声を上げることを願いつつ、この運動へのご支援を切にお願いいたします。一緒に闘いましょう。

 

 2010年2月21日 玄海原発プルサーマル裁判の会