私たちが原発に反対する理由。


■原子力緊急事態宣言発令中!

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2017年12月2日 緊急事態宣言チラシ
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■私たちが再稼働に反対する8つの理由


 

11月9日、国は九州電力玄海原子力発電所3・4号機の再稼働について、審査書案という「合格証」を出しました。

 東京電力福島第一原発事故は大量の放射能をまき散らし、5年8か月経った今なお約9万人もの住民が故郷を追われたままです。原発はひとたび事故を起こせば、命を傷つけ、ふるさとを奪うことになるのです。

 玄海原発の再稼働には83万佐賀県民のみならず長崎県や福岡県、西日本一帯の住民の命がかかっています。多くの問題が解決されないままの再稼働に私たちは心から不安でなりません。

 海の幸、山の幸、大地の恵みをいつまでも安心して食べたい。子ども達をのびのび育てたい。そんな平凡な暮らしを一瞬で奪い去るのが原発事故です。

 玄海原発は2011年12月25日以来約5年間止まったままですが、何も困っていません。原発はエネルギーの問題、経済の問題以上に命の問題です。

 私たちのふるさと・佐賀、住民の命と暮らしを守るために、玄海原発再稼働に絶対反対です。

 

 


-私たちが再稼働に反対する理由ー

 

1.福島原発事故が収束せず、事故原因が検証されていない  
 福島原発事故はいまだ収束せず、放射能汚染水が垂れ流され続けています。事故原因も検証できていません。

 安倍首相は「世界最高水準の規制基準」と言いますが、規制当局トップの田中俊一原子力規制委員会委員長は「基準の適合性は見ているが、安全だということは申し上げない」と繰り返して言ってきました。事故を大前提としているのです。玄海原発が大事故を起こせば、被害は甚大なものとなり、佐賀のみならず日本全国に及び、国をも滅ぼしかねません。 

 

2.地震が頻発する日本列島では原発震災の危険性が高い

 今年4月には震度7が連続して襲う熊本地震が発生しました。今や、日本はどこで大地震が起きてもおかしくない状況です。佐賀県地域防災計画においても、「佐賀平野北縁断層帯」で最大震度7の地震が発生し、最悪で死者4300人という想定がされています。原発事故が大地震との複合災害になったら、放射能から安全に避難することも屋内にとどまることも極めて困難となります。

 原発の近くで連続大地震が発生すれば耐震安全性が直ちに問題になります。繰り返しの力による金属疲労は震動回数に比例して増加し、ついに許容限度に達して破壊に至りますが、一回の大地震が来ただけでほとんど許容限度に達してしまいかねません。また、一回目の揺れで家屋が塑性変形(元に戻らない変形)を起こしたところへ二回目の揺れがきて倒壊した事例が多くありました。原子力規制庁は原子力施設について二度目の揺れがきたときの評価・検討がされていないことを、9月 9日の市民団体との交渉で認めました。全国すべての原発について、これらの検証と対策さえもない中での再稼働は許されません。

 また、熊本地震も踏まえて、島崎邦彦・元原子力規制委員長代理は、これまでの基準地震動(想定する地震の最大の揺れ)が過小評価だとの警告を発しました。規制委員会は別の計算式でやりなおしましたが、地震動が大きくなることが分かると、 やり直し結果自体をなかったことにしようとしました。玄海原発の基準地震動の評価をやり直すべきです。

 福島原発事故で最前線の拠点として機能した免震重要棟の建設さえも、九州電力は約束を破って反故にしました。 

 

3.猛毒プルトニウムを使う玄海3号機プルサーマルは一層危険  

 玄海原発3号機は、使用済みウラ ン燃料を再処理して取り出したプルトニウムを混ぜたMOX燃料を、ウラン用原子炉で燃やすプルサーマル発電です。プルトニウムは核兵器の材料であり、超危険な猛毒の放射性物質です。制御棒の効きが悪くなり、事故時の放射能被害の範囲は4倍になると言われています。使用済MOX燃料の処理方法も未解決です。

 今、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決定され、青森県六ケ所村の「再処理工場」の稼働も目処が立たない中、核燃料サイクル政策は破たんしています。プルトニウム利用にこだわる国が仕方なく始めたプルサーマルも中止すべきです。 

 

4.原子力災害避難計画では命を守ることができない  

 玄海原発で事故が起きたら、放射能は風に乗って四方八方にまき散らされます。たとえば、西風が吹いたら基山・鳥栖方面へ、北西風なら小城から佐賀方面へ、北風なら伊万里から太良方面へというように、どこへどう飛んでいくか分かりません。玄海に有明海、佐賀平野に背振山地…私たちの住む自然環境すべてが放射能に汚染されるのです。 

 こうした中、原発事故時の避難計画は「30キロ圏」でしかつくられていません。避難先は 一人あたり2㎡のスペースで計算し、人口1万人の太良町に伊万里市の住民8千人が避難してくるような机上の数合わせ。逃げる方向は1つだけ。放射能被害の拡散を防ぐために 徹底しなければいけない放射能汚染検査(スクリーニング)は高い汚染基準の上、代表者のみでよしとする手抜き検査。SPEEDIなど放射能拡散予測をやめて実測値で避難。一日以内に避難する基準は実測値で毎時500μSvという日常の放射線量(0.05μSv)の1万倍の数値。このように問題だらけで、被ばくを前提とした机上の計画となっているのです。

 10月10日に行われた原子力災害避難訓練では佐賀県の30キロ圏人口19万人のうち避難訓練参加者はわずか0.3%の639人でした。参加した住民からは「すべて予定どおりに訓練をやっているだけでは意味がない」「集合場所にわざわざ集まるか?バスはちゃんと来るのか」「原発にわざわざ近づくような道は通らない」「避難の経路を知らなかった」「病気で足が思うように動かない。死んだ方がましたい」などの声を聞きました。

 また、屋外は放射能が飛び交っている中を、ドアは開けっぱなしで、職員も住民も防護服もマスクもつけずにいたりするなど、「放射能からの避難」ということが非常に軽視されている訓練でした。自然災害と違うのです。このような実効性のない避難計画では、私たちの命は守ることができません。

 九電や国は「避難計画を支援します」と言いますが、そもそも原発事故の加害者は電力会社であり原発推進の国です。しかし、避難計画は地方自治体に押しつけられています。 

 

 

5.最低限の備えとして安定ヨウ素剤すら住民に配布されず

 原発事故により放出される約300種類の放射性物質のうち唯一、放射性ヨウ素だけは安定ヨウ素剤を服用することで体内への取り込みを阻止し、甲状腺を守ることができます。効果は24時間前後しかないので、手元に持って放射能到達前に飲む必要があります。しかし、避難計画では5キロ圏住民には医師立ち合いのもと説明会が開かれ事前配布されていますが、5キロ圏外では事故が起きてから集合場所などで配布されます。実測値で高線 量に汚染されてからの避難指示が出た後に配布しても間に合いません。

先日の避難訓練においては、説明もないままに注意書きが配布されただけの場所もありました。住民からは「判断が難しい。事前に問診して、事前配布してほしい」との声もあがっていました。国や県は「副作用の心配」を強調しますが、だからこそ放射性物質の危険性と安定ヨウ素剤の効能を住民に事前にしっかりと説明したうえで配布することが必要なのです。 

 

6.次世代にこれ以上の核のゴミをおしつけてはならない  

 原発は「トイレなきマンション」です。原発を動かせば動かすほど、処分方法の決まっていない核のゴミが増えます。10万年もの管理が必要です。これ以上核のゴミを増やすのは、未来の世代に対してあまりにも無責任です。まずは、再稼働を止め、全国すべての原発を廃炉にしなければなりません。 

 

7.原発はウラン採掘から廃炉まで、被ばく労働で命を傷つける  

 原発は事故が起きなくても、放射能がウラン鉱山周辺の住民、採掘現場、燃料工場、発電所等で働く労働者の命を傷つけ健康を奪います。また、玄海原発においても、放射性物質であるトリチウムが10年間で824兆ベクレル放出されるなど、放射能は排出され続けています。 

 放射能はDNAを傷つけます。だから怖いのです。私たちは原発を動かす以上、被ばく労働の犠牲が伴うことを自分のこととして考えなければならないと思っています。 

 

8.福島原発事故では誰も責任をとらず、犠牲はすべて住民に

 玄海原発の再稼働に同意権限を持つのは玄海町長と佐賀県知事だけです。  

 山口知事は「再稼働する方向は一貫している」としながら、「原発の安全性は国が判断」「"地元"の範囲を決めるのは国」と繰り返し発言してきました。

 そもそも、福島事故では誰が責任をとったでしょうか。 ひとたび事故になったら、誰も責任をとらないままに、犠牲になるのはいつも私たち住民です。自らの命に関わることに決定権がないのは理不尽極まりありません。

 10月10日付佐賀新聞の県民世論調査では、玄海原発再稼働反対が50.8%にのぼり、県民の不安が浮き彫りになりました。

 住民の命と財産を預かる知事や市長、町長が原発再稼働に反対するよう、私たち市民が、原発再稼働に絶対反対の声をあげていきましょう! 

 

2011年3月11日のことをもう一度考えてみてください。 

 

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2016年11月9日 玄海再稼働「審査書案」決定に対する抗議行動チラシ
『私たちが再稼働に反対する8つの理由』
20161109玄海審査書案抗議.pdf
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