【1/17福岡高裁控訴審報告~阪神大震災の日、能登半島地震被災地に思いを馳せながら】

1月17日、福岡高裁(久留島群一裁判長)にて、玄海原発控訴審口頭弁論(全基差止第9回と行政訴訟第8回)が開かれました

この日は阪神淡路大震災の日でもあり、能登半島地震でも多くの方が犠牲になられ、被災地に思いを馳せる裁判となりました。報告集会の最初に、参加者全員で黙祷をしました。

 門前集会や報告集会では、これまでにもまして多くの方が発言されました。

避難計画の実効性の無さと原発震災への危機感、「明けましておめでとう」と言えない現実、地域で続けている学習会やスタンディングの報告、声を上げ続けることの大切さ、共に活動する仲間の皆さんへの感謝等々。 

 

法廷では、鐘ヶ江進さんと高森清子さんが意見陳述をされました。

 

鐘ヶ江さんは元高校理科教員で、原発の危険性を長年訴えてこられた方です。今、原発をめぐって、「人類は大きな岐路にたたされている」とし、様々な視点から原発の問題点を指摘され、「地震の巣窟日本に原発を造るのはとても認められない」、「人類の英知となる判断を」と訴えられました。

高森さんは福岡市議を務められたこともあり、2011年3月は市議選に向けて活動中で、未曽有の震災と原発事故のため、「街頭で訴える言葉が出てきませんでした」とのことでした。以後、福島や原発のことに関心を持たれ、テルル毒の健康影響等に言及しながら、「これからの子どもや孫の命や健康を守るために声を上げていきます」と締めくくられました。

 

また、今回の期日に先立ち、同じく原告でもある上岡直見さん(環境経済研究所代表)と小山英之さん(美浜の会代表)より、それぞれ避難計画と地震動評価に関する詳細な陳述書が裁判所に提出されています。

 

報告集会では、黙祷の後、原告団長の石丸初美さんから被災者へのお見舞いの言葉と脱原発への思いがあらためて語られました。「地震のたびごとに“原発は異常ありません”と報道される。なぜ原発は特別に報道されるのか。危険だからです。綱渡りの原発はもういりません。本当にやめてもらいたい、心からそう思います。この時間も、能登半島の被災者の方々は、寒い思い、辛い思いをされていると思います。原発事故は絶対にあってはならない。これからも原発を止める運動をがんばりたいと思います。どうぞ皆さん、お身体を大事に、がんばっていきましょう。」

 

その後、弁護団からの解説と質疑応答が続き、能登半島地震に関する意見共有の時間となりました。その一部を紹介します。

 

・珠洲原発の計画がもし実現していたら、福島で起きたことと同じことが繰り返された可能性がある。粘り強い反対運動がなければ、今頃、東日本一帯が放射能に汚染されていたのではないか。このことを日本人は認識すべきと思います。

・原発は外から取り入れた電気を使って動かしている。変圧器は外からの電気を受けるところにあり、そこが壊れて外部電源が切れるということは大問題。そもそも志賀原発は1000ガルまで大丈夫と言っていた。今回、地下の岩盤の少し上で399ガルだった。399ガルしか起こっていないのに、なぜ、変圧器の配管が壊れて油が漏れたのか、検証すべき。

・原子力規制委員会の設置目的は、国民の生命、健康、財産を守るためとなっている。それなのに、規制委員会が避難計画を審査対象にしていないのは、明らかにおかしい。審査対象にすべきです。

・避難計画のもととなる原子力災害対策指針。これは規制委員会が作っていますが、その指針の前提がガラガラと音を立てて崩れている。そのことに対して、私たちの知事はどう思っているのか、住民を守れると考えているのか、そのような働きかけをおこなっていきたい。皆さんもお住まいの地域で行動を起こしてみませんか。

 

他にも様々な意見が出され、活発な意見共有の場となりました。

福島原発のような事故を二度と繰り返してはならない、その思いを共有し、決意を新たにする場にもなりました。

 

次回控訴審は4月24日(水)です。多くのみなさんの傍聴・注目をよろしくお願いします。


◆裁判書面(行政)

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20240110玄海行訴控訴準5火山●.pdf
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20240110玄海行訴ばらつき陳述書(小山英之)●.pdf
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20240110玄海行訴控訴人事務連絡(主張方針について)●.pdf
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◆裁判書面(全基)

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20240110玄海全基ばらつき陳述書(小山英之)●.pdf
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20231230玄海全基避難陳述書(上岡直見)●.pdf
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◆控訴人意見陳述

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20240117意見陳述鐘ヶ江進●.pdf
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20240117意見陳述高森清子●.pdf
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陳 述 書

2024年1月17日

福岡市西区

鐘ヶ江進

アメリカ先住民ホピ族によれば大地に災い(放射能物質)が閉じ込められて生き物が誕生したとの言い伝えがある。まさに現代は、原子力の扉を開いた時代である。命を奪う可能性がある原子力とどう向き合うかが問われている。私は、退職まで高校の教員で理科を担当していた。アメリカ,スリーマイルでの原発事故、ソ連のチェルノブイリの原発事故を知り、日本でも原発事故は起こりえると確信し原発の危険性を知らせる活動も少しはやってきた。原発の開発・再稼働をすべきかどうか人類は大きな岐路にたたされている。

 

1.地震列島である日本に原発は安全に運転できるのか。

日本はプレートが4つも入り乱れる地域である。地震も絶えず起こり、津波の災害もある。まさに今年、能登地域での今年の地震は予想を超え対応ができない事態になっている。直下型の地震もある。断層はどれだけあるのかわからない。断層の上に原発があれば危険性ははかりしれない。

地震の巣窟日本に原発を造るのはとても認められない。海外の原発は地震が起きにくい地域に造っている。

 

2.原発災害の規模の絶大さ

2011東日本大震災の時、菅首相は東日本の壊滅を一時想像していた。アメリカの軍隊や政府関連機関は日本を離れて、一時避難した。原発が同時に4基メトルダンしたら想像を絶することが起こる。この時に対処することができるのだろうか。放射能の濃度が高ければ活動はできない。そうなれば、事故に対応ができない、東電も幹部は現場からの撤退を考えていたのではないか。その時日本はどうなるのか。その可能性と向き合うことができるのか。

 

3.安全性の神話

日本の原発は安全という神話を東京電力も他の電力会社も政府も言ってきた。マスコミも追随した。批判に耳を傾ける謙虚さがない社会風土の中で、2011東日本大震災と同じ規模の事故は起きないだろうか。安全神話を信じるとリスクは軽んじられ、経済性が優先される。リスクを優先し事故を回避する思想を日本では考えられるだろうか。地震学者も、原子力規制委員会も大地震の時の安全は保障していない。

 

4.被曝・放射性物質の拡散の現実

原発を稼働させるためには、莫大な人力が必要。その過程で労働者は被曝する危険がある。命を削る産業が人類には必要だろうか。大事故になれば莫大な放射能が拡散する。日常でも原発からは温排水、放射能のゴミ等が絶えず発生している。温排水は莫大な熱量を放出している。環境に影響があるが正確に、影響を把握できているのだろうか。地球温暖化にも影響を与えている。

 

5.だれが命を投げ出す命令を出すのか。

水俣病、東海原発臨界事故、薬害エイズ事件のとき、どこも責任をとらず解決まで長い年月がかかった。原発の大事故の時、誰がどのように責任を取るのだろうか。過酷事故になったとき、誰が命を投げ出す命令を出すのだろうか。出さなければ日本は壊滅するかもしれない。

 

6.大都市に原発を

電気が必要と思うなら、大量に電気を必要とする大都市につくるべきだ。事故のリスク考え都会の人が判断しなければならない。原発の廃棄物も安全ならば大都市で保管管理すればいいのではないか。未来の世代に原発の負の遺産だけ押し付けてはならない。

 

以上、6の視点から考えても、原発は必要ありません。原発事故の夢をみる現在の世ではなく、安全な世界を実現してほしい。人類の英知となる判断をお願いします。


陳 述 書

2024年1月17日

福岡市城南区

高森 清子

私は、髙森清子と申します。福岡市城南区に住んでいます。

50年前、子どもが生まれ、安全な食べ物を食べさせたいと生活協同組合で共同購入を始め組合員活動や、地域での文化活動を長年していました。2007年から1期 福岡市議会議員をしていましたが、2011年3月の東日本大震災の時は2期目の選挙に向けて活動中でした。

11日の津波や原発が爆発するテレビ映像に釘付けになったことを覚えています。「これからどんなことが起こるのだろう、議員になって何が出来るのだろう、そもそも同じ市民として何を訴えていけばいいのだろう。」と告示後に街頭で訴える言葉が出てきませんでした。

その後、福島の状況や原発問題についてずっと関心を持ってきました。

 

福島原発事故後に東日本広域に見られた急性原爆症候群とその後の慢性原爆症候群の原因は、テルル毒の被曝によることを突き止めた環境学者の京都精華大学名誉教授 山田國廣先生の報告に「甲状腺がんや甲状腺機能障害、白血病、乳がん、結腸がんなど、心筋梗塞、新生児の低体重出生や水頭症などの先天奇形、妊産婦の流産、早産などの産褥期障害、神経障害、免疫系障害などの症状の原因は、テルルの化学毒を主犯として放射性ヨウ素、放射性セシウムの複合影響によるもの」とあります。

 

元原発労働者で福岡市在住の梅田隆亮さんは、過酷な被曝労働に従事したことから急性心筋梗塞を発症しても労災認定がおりませんでした。2012年2月17日、裁判に訴え、2018年7月11日最高裁で上告棄却となり、上告受理申立も受理しないという判断をされました。

 原発を動かすには人の力が必要です。そこで働く労働者は13ヶ月に1回の定期点検だけでも原発一基につき3000~50000人が働いています。2011年の福島原発事故後も除染作業や廃炉作業に従事する多くの人たちがいます。梅田さんは、「100万人にも及ぶと言われている原発労働者の安全と健康について、放射能によるリスク、人体に及ぼす影響が長期にわたって被害を生み出すかを、多くの人に知ってもらいたい」との思いでこの裁判を闘われました。今も廃炉作業が続いていて、あと何十年かかるのか、何万人の作業員が動員されるのか計り知れません。

 

2011年11月に福岡県の「女性の翼」事業で、デンマークとスウェーデンに行きました。両国とも社会福祉がとても行き届いていて、人の命や健康を第一にする国です。

デンマークでは、1973年に原子力発電が検討され、エネルギー政策は民衆が決める権利があるとして、国も情報開示を行い、国民投票をして脱原発を決め、自然エネルギーに取り組むことを議会で決めたのです。スウェーデンは、1970年代に原子力を推進してきましたたが、79年にスリーマイル島の事故を受け、1980年の国民投票の結果、2010年までに原子力発電を段階的に廃止する決議が採択され、当時10基あった原発を段階的に廃止することを決めています。両国とも、国が充分な情報を出し、国民投票までしてエネルギー政策を決めていることです。

翻って、日本ではどうでしょう。安全神話を教え込み、2011年の時にはいつの間にか原発は54基もあったのです。放射性物質は大気中や陸・海にも拡散します。セシウム137の半減期は約30年、プルトニウム239は半減期が2万4千年、と長い時間と費用がかると言うことは知らされていませんでした。

 

2017年に福島に行きました。車で移動中、多数の黒いフレコンバッグがあちこちにあるのが目につきました。トイレ休憩のために入ったスクリーニング場では、線量計とその光景を写真撮影しようとしたところ、「ここは国の許可がないと写真は撮ってはいけない!」と怒鳴られ追い出されました。また、「請戸の浜」では津波によって多くの家が流されてコンクリートの残骸が残っているだけでした。ここでは消防団の方達は11日夜まで捜索を続けていましたが、翌12日午前5時頃に線量が高くなったことから福島原発から10キロ圏内に避難命令が出され、救助隊が請戸の浜に入ることが出来たのは1ヶ月後のことだったそうです。11日夜まではクラクションをたたく音が聞こえ、生存者がいたのに救出に行けなかった救助隊の方達の無念さは計り知れません。放射能は危険なもので、安全ではないのです。

福島市内の自然豊かな里山にある信夫山ガイドセンターでは、「除染」が行われトラックや作業員の人たちが行き来していました。自然観察所の方と「原発は危ない」などの話をしていたところ、「ここでは原発の話はしていけないのだ」と言われ、箝口令が敷かれていることが分かりました。自由に物が言えないのです。

ドイツでは、福島原発事故を契機としてメルケル前首相が原発廃止を決め、2021年12月31日、国内で稼働中の原発6基のうち3基の稼働を停止し、2023年4月15日には全原発を廃止しています。

 

地球温暖化の原因としてCO?削減の代わりに、エネルギー源として原発回帰に走っているようです。原発はテルル毒や放射性物質を環境にばらまき、複合影響で健康被害を起こしてしまう危険なものです。

デンマーク・スェーデンのように再生可能エネルギーへシフトして、国民の声を聞き、国と企業が知恵を出し合って、人の命や健康を大事にする国づくりをすべきです。

私はこれからの子どもや孫の命や健康を守るために声を上げていきます。