【UPZ外も避難が必要になることがある!佐賀市へ要請質問書提出】

 

11月22日、玄海原発事故時に避難受け入れ先となっている全39市町へのアンケート結果を踏まえて、佐賀市長に対して要請質問書を提出しました。

原発事故時に唐津市民48000人を受け入れる計画となっているがその実効性、

避難時の除染基準が、放射線管理区域(4ベクレル)の30倍の120ベクレルとなっている問題、

福島原発事故を受けて佐賀市のように30キロ圏(UPZ)外でも状況によっては避難指示の地域となることを国も認めて法律にも謳っているが、佐賀市はどう対応しようとしているか、

住民に情報があまりに行き届いていないこと、

・・・などを質しました。

危機管理防災課長は「住民のみなさんの不安は分かります」という姿勢で対応、回答時に面談の場を約束していただきました。

他の自治体にも、住民のみなさんと一緒に順次提出していきたいと思います。

 

※追記:佐賀市から2024.1.26付で回答が届きました↓

 

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20240126佐賀市回答避難.pdf
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20231122佐賀市長質問要請書避難●.pdf
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玄海原発事故時の避難先自治体へのアンケート結果に基づく質問・要請書

原子力避難計画は全県民の問題だと知らされていません!

2023年11月22日

佐賀市長 坂井英隆様

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

代表 石丸初美

 

 日頃より住民の安全、安心のためにご尽力いただき、ありがとうございます。

佐賀、福岡、長崎3県の10団体で構成する「玄海の避難問題を考える連絡会」は昨年に続き、貴自治体、佐賀市を含む、玄海原発事故時の避難先となっている3県39自治体にアンケートを実施し、自治体のみなさまのご協力のもと、全体で95%(2自治体未回答)の回答を頂きました。

 ご存じのように、アンケートは10項目にわたり、玄海地域の緊急時対応の防護措置について尋ねました。避難元/避難先のマッチングや、除染の基準の意味や検査方法、30㎞圏外の防護措置、事前了解権等です。回答のうち、国の具体的な基準や方法を「知らなかった」と答えた自治体が約半数もあり、実効性のない原子力避難計画であることが浮き彫りになりました。

 

 佐賀市は玄海原発から30㎞圏外に位置します。しかし、国が定めたUPZ内で放射性プル-ムは止まるとは限りません。その時の風向きによっては、この佐賀市も放射能被害を受ける可能性は大きいです。政府もこの状況を想定して、法の上でUPZ外の対応も謳っています。原子力災害対策指針(令和4年7月6日一部改正)では「(5)防護措置及びその他の必要な措置① 避難及び一時移転 ② 屋内退避 ③ 安定ヨウ素剤の配布及び服用」 と、このようにUPZ外の住民に対する措置を明記しています。また佐賀県が配布している「原子力防災のてびき」には、「30㎞以遠の地域にお住まいの方:状況に応じて屋内退避・基準値以上の空間放射線量率が測定されれば避難(一時移転)」(7P)と明記しています。しかし、私たちの活動を通して解ったことは、この重大な問題について当事者となる私たち市民への周知、広報が全く行き届いていないということです。自治体の担当者さえ知らない事が、住民に周知されるはずがありません。

 東京電力福島原発事故を経て、原子力発電が使用する核燃料には、膨大な量の放射性物質が内包されており、一旦重大事故を起こせばその制御はほとんど不可能であること、その結果放射性物質が生活圏に降り注ぐこと、後始末のツケは何万年先まで残ることが白日の元に晒されました。12年経った今も事故の原因は明らかにできず、事故処理の見通しもなく、被災者・避難者への賠償や補償はないがしろにされたままで問題山積です。今でもふるさとに帰れない人が数万人と言われています。しかし、原発事故に対する国及び東京電力の責任はあいまいにされたままです。

 政府は福島原発事故を起こした当事者、当事国にもかかわらず、住民の甚大なる犠牲をも踏みつけるかのように、原子力政策を国会の議論も経ず大転換し、「60 年超え運転の容認」等、原子力推進に舵を切りました。国民の声を聞こうとしない今の政府から国民は置き去りにされています。

 

 今回の調査で国の放射能検査基準がゆるすぎること、検査方法や放射能への対処がずさんであること、避難計画の当事者間での話し合いがもたれていないこと等が明らかとなりました。これでは私たち住民は安心して暮らせないと感じました。九州電力は玄海3・4号機を2018年再稼働しました。玄海3号機は安全余裕を減らすプルサーマルです。近年、地震が頻発している日本列島で再び原発事故が起きてもおかしくありません。原発事故は人災です。この想定内の私たちに降りかかるであろう「災禍」を座して待つつもりはありません。原発を止める事が唯一、一番の防災です。

 

 以上の理由で本日以下の質問と要請を提出いたします。

 お忙しい中とは存じますが、提出日の1ヶ月後、2023年12月20日までの回答をお願いします。

 

質問事項

【1】 避難元/避難先のマッチングについて

 佐賀市は唐津市からの48,000人(佐賀市人口の20%)を避難先131ヶ所で受入れとなっています。避難所の運営について、佐賀県からの回答は「避難所運営は原則避難元である。」としています。

 唐津市と受入先12市町でつくる「唐津市原子力災害時広域避難対策協議会」の会合で(2021年4月6日)、避難先自治体から「最大の避難者数を出して欲しい」と意見が出された事について、佐賀県は「最悪の想定を具体的に示すことは困難」とし、避難先自治体の要望に応えていません。唐津市からの回答は「避難者が入れなくなった場合は、県が代替施設(学校、ホテル等)を調整する」と、県に委ねています。

 

①緊急時の佐賀市内代替施設の候補施設について、県から相談はありましたか?あればいつですか。

②その際、原発事故特有の被ばくによる施設への影響、対策など、説明はありましたか?

③佐賀市の防災備蓄計画では、佐賀県の「県・市町の物資に関する連携備蓄体制整備要領」に基づき、想定避難者受入人数は登録人口の5%と決められています。原発事故時に唐津市から避難してくる48000人は、佐賀市人口の20%となり、大幅過多となっています。備蓄物品、受け入れ体制が整わず、実効性ある計画とは言えません。

防災備蓄計画ではなぜ「5%」とされたのですか。原発事故時はなぜ例外扱いにするのですか。

④唐津市原子力災害時広域避難対策協議会が毎年開かれていますが、市はどのような意見を出し、唐津市や佐賀県から、どのような回答があったか具体的に教えてください。2022年度と2023年度の協議会の議事録と資料をお見せください。

 

【2】除染の基準の意味について

 アンケートでは、佐賀市は「避難退域時検査」で除染が必要となる基準は、「知っている」、そして「この基準で問題ない」。またUPZ外においても放射線モニタリング等の結果により、避難や一時移転の防護措置を講じる事とされている事について、「講じていない」と回答されました。

⑤原発で一番大事な問題は被ばくから住民を守る事です。現在の除染基準は、放射線管理区域の外に物を持ち出す基準の30倍です。除染基準、検査方法についてなぜ問題ないのか理由をお聞かせください。原発事故だからといって、30倍の被ばくを市民は理解も承知もしていません。住民がなぜ九電の事故のために被ばくをしなければならないのか、「この基準で問題ない」と答えた佐賀市の見解をおこたえください。

⑥佐賀市にも避難指示が出るような事態になれば、UPZ同様の対応が必要になります。佐賀市民に対してもUPZ同様の事前情報が当然必要です。福島原発事故では放射線の危険性を知らなかったことで、多くの方が無用な被ばくを強いられました。この犠牲を学んでどのように対応するのか、具体的な対策と市民への広報をお聞かせください。

 

【3】その他について

 避難元からのバス、自家用車の「検査」方法について佐賀市は「知っている」、また住民の検査方法についても「知っている」と回答、加えて今の方法で「問題ない」としています。

⑦佐賀市は「問題ない」と回答していますが、避難者に被ばくが強要される事をどのように受止めますか? 「問題ない」という根拠をお示しください。

⑧佐賀市にUPZ同様の避難(一次移転・屋内退避)指示が出た場合、今の基準では市民に被ばくを強要する事になります。佐賀市としての市民に対しての考えを教えてください。

⑨避難所となる学校や施設に放射能が持ち込まれる可能性について、佐賀県は「除染により人体に影響が出るレベルの放射能汚染が避難先施設に持ち込まれる事はない」と回答しましたが、根拠は示されていません。受入先となる佐賀市の施設や学校は、市民が日常的に活用する場所です。

佐賀市は「避難先施設に被害が及ばない」とする県の考えを受入ますか?

⑩⑨の回答で、受入れるのであればその理由を住民に解るようにお聞かせください。

⑪⑨の回答で、受入れないのであればその理由と対策をお聞かせください。

⑫佐賀市民が原発事故の避難当事者となりうることを、国も佐賀県も想定しています。佐賀市として市民へ広報が行き届いていると思われますか。現時点での広報を具体的に教えてください。

⑬佐賀市に避難指示が出たら、佐賀市は、UPZ同様に市民の避難先をどのように対応するとお考えですか?あれば具体的に教えてください?

⑭佐賀市民も避難指示が出た場合、市民が飲む必要のある安定ヨウ素剤は熊本から運んでくるとなっています。熊本のどこにどのぐらい備蓄され、誰がどのように、どのぐらいの時間をかけて運ぶことになっているのか、現在の計画を具体的に教えてください。また住民への情報提供をお聞かせください。

 

要請事項

【1】上記のように、原発事故が起きれば自然災害の避難計画の比ではないことは明らかです。住民として、原発事故は二度と起きない事を願うばかりです。しかし、政府と自治体が解っていて国民には知らされていない原発問題が多すぎます。原発事故時の対応について、私たちは当事者の問題として自分の身を守るために、具体的な情報提供を求めます。

 

【2】住民を守る立場の自治体として、佐賀県や政府に対して施策の根拠を求め、住民への説明の場を開催することを求めます。

以上

 

※アンケート調査実施団体:〔玄海の避難問題を考える連絡会〕

今を生きる会/玄海原発反対からつ事務所/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/原発知っちょる会/原発を考える鳥栖の会/さよなら玄海原発の会・久留米/市民ネットワーク福岡/ STOP!新基地建設・福岡/東区から玄海原発の廃炉を考える会/原発なしで暮らしたい・長崎の会


◆報道