【自治体アンケート結果に関して佐賀県知事へ質問要請書を提出】

玄海原発事故時に避難受け入れ先となっている全39市町へのアンケート結果を踏まえて、7月14日、山口祥義・佐賀県知事への質問要請書を提出しました。

アンケートでは、避難時の除染基準の意味や検査方法などについて「知らなかった」と答えた自治体が約半数もあるなど、当事者である自治体にあまりに知らされていない現実が浮き彫りになりました。

アンケート結果を踏まえて、避難計画に実効性がないにもかかわらず原発再稼働を認めた知事に対して、質問23項目と要請5項目を提出しました。2週間以内の回答を求めています。

※アンケート結果 https://saga-genkai.jimdo.com/2023/05/28/a/


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20230714佐賀県知事質問要請書避難アンケート踏まえて●.pdf
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玄海原発事故時の避難先自治体への

アンケート結果に基づく質問・要請書

原子力避難計画は全県民の問題だと知らされていません!

命を守るために玄海原発の稼働停止を求めます。

佐賀県知事 山口祥義 様

 

日頃より佐賀県民の安全、安心のためにご尽力いただき、ありがとうございます。

私たちは佐賀、福岡、長崎3県の10団体で構成する「玄海の避難問題を考える連絡会」です。昨年に続き、玄海原発事故時の避難先となっている3県39自治体にアンケートを実施しました。自治体のみなさまのご協力で全体で95%(2自治体未回答)の回答を頂きました。

アンケートは10項目にわたり、玄海地域の緊急時対応の防護措置について尋ねました。避難元/避難先のマッチングや、除染の基準の意味や検査方法、30㎞圏外の防護措置、事前了解権等です。回答のうち、国の具体的な基準や方法を「知らなかった」と答えた自治体が約半数もあり、実効性のない原子力避難計画であることが浮き彫りになりました。(詳細別添)

 

東京電力福島原発事故を経て、原子力発電が使用する核燃料には、膨大な量の放射性物質が内包されており、一旦重大事故を起こせばその制御はほとんど不可能である事、その結果放射性物質が生活圏に降り注ぐこと、後始末のツケは何万年先まで残すことが白日の下に晒されました。12年経った今も事故の原因は明らかにされず、事故処理の見通しもなく、被災者・避難者への賠償や補償はないがしろにしたままで間題山積です。政府は福島原発事故を起こした当事者、当事国にもかかわらず、住民の甚大なる犠牲をも踏みつけるかのように、原子力政策を大転換し、「60 年超え運転の容認」等、原子力推進に舵を切ろうとしています。真っ当な政治ではありません。

 

今回の調査で国の放射能検査基準がゆるすぎること、検査がずさんであること、避難計画の当事者間での話し合いがもたれていないこと等が明らかとなりました。私たちは、住民は安心して暮らせないことを危惧しています。九州電力は玄海3・4号機を2018年に再稼働しました。玄海3号機は安全余裕を減らすプルサーマルです。近年、地震が頻発している日本列島で再び原発事故が起きてもおかしくありません。原発事故が起きれば、住民の命と暮らしへの犠牲は避けられないことが明らかになったはずです。原発が動いている限り、住民に安堵のくらしはありません。玄海3・4号機の停止を求めます。

 

以下の佐賀県市町の集計結果に基づく質問と要請にご回答ください。

2023年7月28日までの回答をお願いします。(提出日の2週間後)

 

 

<質問事項>

 

【1】避難元から避難先のマッチングについて

全市町ができていると回答しています。しかし、太良町の場合は町人口8413人(2022年1月1日)に避難者8000人を受け入れることになっています。太良町の職員の数も限られている中、無謀な計画と言えます。2014年の私たちの面談調査では受け入れ人数7687人(人口9800人)でした。今回のアンケートでは、その時以上に受け入れ率が増加しています。佐賀県は住民が一度に避難はしない想定で進めていますが、最悪の状況を想定すべきが危機管理です。

 

質問①太良町へ避難となっている全ての住民が避難となった場合、具体的対策はどう考えていますか?

質問②佐賀市の防災備蓄計画では、想定避難者受入人数は登録人口の5%と決められています。他の市町においても登録人口の5%以上の受け入れ避難者人数は実効性があるとは言えません。太良町以外の自治体に対しても、県としてどうリスクを回避しますか?  

 

【2】除染の基準の意味について

避難元から避難する場合の「避難退域時検査」で除染が必要となる基準は、下記のようになっています。

(国の基準「原子力災害時における避難退域時検査及び簡易除染マニュアル」)

 

◆国のマニュアル 除染が必要な基準:体表面汚染で120 Bq/㎝2=40,000cpm

(cpmは1分間の放射線カウント数)

 これは、・1歳児の甲状腺被ばくで300mSvに相当(安定ヨウ素剤服用基準50mSvの6倍)

・「放射線管理区域の外に物を持ち出す基準」4Bq/㎝2の30倍

 

除染の基準の意味を「知らなかった」との回答は40%(江北町、白石町、吉野ヶ里町、鹿島市、嬉野市、有田町)もありました。

 

質問③佐賀県は、除染の基準の意味を、避難元・避難先自治体にいつ、どのように説明しましたか? 

質問④住民の安全及び、避難先に汚染を持ち込まないことを考えれば、除染の基準 40,000cpmは放射線管理区域の30倍になります。基準が緩すぎないですか?また、県として容認するのですか? 

 

【3】車両の検査・除染について

(3-1)汚染が酷いタイヤ接地面等の測定はしないことを「知らなかった」が53%。

質問⑤車両の検査や除染について、避難先自治体へ説明はしていますか? 

質問⑥測定しないのは放射能拡散になりませんか?また、具体的に測定しない理由を示してください。 

 

(3-2)「タイヤの接地面も検査すべき」は33%。

質問⑦タイヤの接地面を検査しない理由を示して下さい。

質問⑧自治体の「タイヤの接地面も検査すべき」という声にどう答えますか?

 

(3-3) 除染はウエットティッシュでのふき取りだけについて「知らなかった」が 60%。

質問⑨「知らなかった」と回答した自治体への対応は、するのですか?

 

【4】避難する住民の検査等について

(4-1)車両が基準値以下の場合、乗車した住民の検査はなしと言うことを「知らなかった」が47%、

(4-2)車両が基準値を超えた場合は、代表者を1人選び代表者が基準値以下なら、同乗者全員基準値以下とみなす事を「知らなかった」が53%

(4-3)避難する住民の検査のあり方について「全員検査すべき」が33%

(4-4)住民の検査では、測定値を記入しない「通過証」が渡されますが、「測定値は必要」と40%でした。

福島原発事故後、子どもたちが甲状腺がんを発症していますが、測定値のない「通過証」では、後に健康影響が出た場合に因果関係を証明することもできません。自治体の回答は住民の側に立った当たり前の回答です。「知らなかった」という回答が約半数もあり、大事な問題が情報共有なされていない事が浮き彫りとなったのです。

放射線は微量でも数年後、数十年後に被ばくにより発症する事があると言われています。住民は命を守る権利として自分の個人情報を知る権利があります。

 

質問⑩自治体で答えがあったように、「(住民は)全員検査すべき」と考えませんか?

質問⑪測定値を記入した「通過証」を、本人に渡すべきと考えませんか?

 

【5】避難所となる学校や施設に放射能汚染が持ち込まれる可能性があることについて

「持ち込むべきでない」と明確な回答は 46.5%。「仕方がない」が 7%(?自治体)。他の自治体は意見の欄で殆どが、「放射能が持ち込まれない対策が必要」と回答。結果 90%強の自治体が避難受け入れについて不安を持っている事実が明らかになりました。今の検査方法では放射能拡散につながります。企業の利益のために住民を犠牲にする事は許されません。

 

質問⑫県として原発事故から住民の安全を確保するため、放射能汚染が持ち込まれる可能性を自治体が避難所となる学校や施設に伝えるべきだと考えませんか?

質問⑬避難先自治体は持ち込まれる放射能が住民に被ばくを強要する可能性を真剣に考えています。県としてどう受け止めましたか? 

質問⑭避難先となる施設に放射能汚染が持ち込まれないために、県として何か対策を講じましたか?

 

【6】検査と除染の基準の内容について、避難所となる学校や施設に伝えているか

「伝えていない」が53%。

避難所となる学校等が知らない事は施設やその利用者に対して無責任です。無回答の中に、佐賀県が発行している「原子力防災のてびき」等で周知を図っているとありますが、そもそも検査と除染の基準の内容など記載されていません。自治体でさえ知らされていない情報が住民に行き届いているのか疑問です。危機管理の常識として、当事者間での情報を共有する事が第一歩です。学校、保護者、施設管理者等へ具体的内容等を伝えるべきです。

 

質問⑮検査と除染基準の内容について、県は避難先自治体と連携して避難所となる施設へ伝えるよう対策をしていますか?

 

 

【7】検査の基準について、避難元自治体や県と話し合いはあるか

「話し合いはない60%+今後話し合いたい20%」と80%がされていないと回答。

原子力避難計画は、命と健康に重大な影響を与える可能性のある放射能から身を守るもの。アンケートで、検査の基準等について自治体間の情報交換ができていない事が明らかになりました。

 

質問⑯県の責任として、避難元と避難先の協議が進んでいない現状をどう考えますか?

質問⑰県として検査の基準等について住民の健康が守られるか、避難元自治体や県との話し合いの場は必要だと考えませんか?

 

【8】事前了解の権限が佐賀県と玄海町に限られていることについて

「現状のままでよい」が74%と、第三者的な回答でした。この結果は、避難先市町は受け入れ先自治体となるに止まらず、風向きによっては避難の当事者になる可能性もあることが周知徹底されていないからです。原発の危険性や稼働するかどうかについて意見さえ言えず、事故が起きれば命とくらしを奪われるだけの地域です。住民として安心できるはずはありません。福島原発事故により住民は取り返しのつかない犠牲を強いられた事が明らかになった今、避難元、避難先自治体も原発関連自治体と言えます。事前了解権限を九州電力と締結するのは当然だと思います。

 

質問⑱避難元、避難先自治体も原発問題について事前了解権を持つことについて、県の考えを示してください。

 

【9】指針ではUPZ外でもモニタリング等により避難や一時移転となった場合の防護措置を講じることとされているが、講じているか?

 

「講じていない」が80%。「講じている」と回答の自治体も「国や県との調整に基づき決定していく」と回答しているので、自治体独自の措置を講じていない事になり「講じていない自治体」は93%となります。

アンケ―ト結果から見えることは、避難受け入れ自治体はUPZ同様の事態になることを想定していません。意見欄には「国や県との調整に基づき決定していく」と自治体は佐賀県の方針に委ねています。福島原発事故の教訓を無視した原子力避難計画では、住民の混乱が必至であると言えます。

原発は「やむを得ず」と言って山口県知事は再稼働を承認しました。政府は「100%安全はない原発」だとして、住民に犠牲を押しつける避難計画です。「30km外の防護措置」について、住民への告知は「原子力防災のてびき」(2022年12月改訂版)の7ページ下段3行に「30km以遠の地域にお住まいの方・状況に応じて屋内退避・基準値以上の空間放射線量率が測定されれば避難(一時移転)」というだけです。たったこれだけでの広報ですまされるものではありません。県民にとって重大かつ理解しにくい問題であるからこそ積極的に誠意ある方法で知らせるべきです。

 

質問⑲UPZ外においての防護措置について、当該自治体への説明や協議をしたことはありますか?あればどのような議論をしたのですか?具体的に示してください。

質問⑳防護措置で、安定ヨウ素剤の備蓄や配布、服用などについて、UPZ外の自治体がどこまで準備ができているのか把握していますか?

質問?福島原発事故では、30㎞外の地域にまで放射能汚染が広がって住民避難を余儀なくされました。原発立地県として、この犠牲をどのように教訓としてきたのか、具体的に示してください。

 

<総合>

質問?玄海地域の緊急時対応の防護措置のアンケートについて「知らなかった」という回答が多くの自治体からありました。佐賀県として、どうしてこのような結果になったと考えますか?

質問?このアンケートの結果を見て、現在の原子力避難計画で住民のいのちと健康を守れると考えていますか?

 

 

<要請事項>

(1)アンケートで原子力避難計画の当事者間で情報が共有できていないと明らかになりました。避難当事者の住民はそれ以上に"知らされていない"ことになります。 佐賀県の広報はHPや冊子配布などで全住民には届けていると言いますが、自然災害と違う特異性から、原子力災害について住民への丁寧な説明の場が必須となります。県民全員を対象にし、町内会単位等での少人数の原子力避難計画の説明会を実施すること。

 

(2)現在の除染基準と検査方法は、被ばくから国民を守る放射線防護の考え方から大きく逸脱するものです。私たちは、原発のために少しの被ばくもしたくありません。「原子力避難防護措置」が住民のいのちと暮らしを守る砦になるよう求めます。

 

(3)知事は、アンケートから明らかにされた避難先自治体の不安の声を重く受け止め、丁寧に聞き取り調査を行い、問題点をあぶりだし、避難元と避難先の協議を佐賀県として進めること。

(4)上記(3)と同時進行で全自治体と住民へ、除染基準数値や避難退域時検査方法等を周知徹底し、避難計画の問題点を洗い出し公表すること。 

(5)命とくらしを守るために玄海原発の稼働停止を求めます。

以上

 

実施団体:玄海の避難問題を考える連絡会(佐賀、福岡、長崎3県の10団体)

今を生きる会/玄海原発反対からつ事務所/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/原発知っちょる会/原発を考える鳥栖の会/さよなら玄海原発の会・久留米/市民ネットワーク福岡/ STOP!新基地建設・福岡/東区から玄海原発の廃炉を考える会/原発なしで暮らしたい・長崎の会


<追記>

県担当者の面談の中で、下記の点についても追加質問し、回答を求めました。

①自治体の仕事は予算が立ってはじめて事が動くもの。避難先自治体の受入に伴う経費はどこから出るのか?

②通過書について。受入先施設に着いてから「通過証」を持っていない人に対し、そのまま避難所に入ることはできるのか?持っていない人は入れないのか?唐津市によると、「通過証なし」の人に対する判断は受入先の判断かと思われるとのことだが、県としてどう対処するのか?

③避難元の病院や障害者施設などは、避難先施設を自分達で探さねばならない事になっている。事故が起きたとき空きベットがあるのか疑問。避難時に入院患者や入所者のスクリーニングはどこでどうやって行うのか?

④「マッチング」について。避難先施設に対しあまりにも受入人数が多いように思われる。県が配布している「原子力防災のてびき」は「災害時には、普段やれる事、訓練でやったことのあることしかできません」と謳っている。県主導で、避難先施設の1箇所でいいから、現状の計画通りに受入可能かどうか、実地検証をお願いしたい。


◆報道