【大切なのは知らせること、続けること。"12.2反プルサーマルの日"玄海町行動】

2009年12月2日、九州電力は玄海原発3号機で、住民の不安を無視して、日本初のプルサーマル運転を強行しました。
私たちは、この日を忘れさせまいと、毎年この日に現地行動等に取り組んできました。
あれからちょうど10年の今日。
玄海、唐津、佐賀、福岡、久留米、長崎などから仲間29人が集まり、佐賀、玄海町長への要請書提出と、住民へのチラシ・ポスティングを行ってきました。

 

玄海町役場では部屋がなかったということで、玄関ロビーで立ったまま。町長や課長が不在ということで、対応した職員3人にこちらの思いを伝えました。
職員は、玄海町唯一の小中学校「玄海みらい学園」が原発5キロ圏外にあること(つまり安定ヨウ素剤の備蓄もしていない)や、来年には処理方法が何も決まっていない使用済みMOX燃料が出てくることなどをよく把握していませんでした。このような状態で、町民の命の安全を守れるのか、非常に疑問です。ましてや町外の人々の命のことなど…

 

その後、班に分かれて町内ポスティングを行いました。朝方まで降っていた雨もやみ、晴れ間も出る中、800軒ほどに配布しました。
お声かけできた住民とはなるべくお話をしてきました。

だからこそ、私たちが住民に本当のことを知らせていくこと。いっぺんにはひっくり返らないけど、続けていくことが大事なんだと、再確認しました。

 

住民は"モルモット"ではありません。
犠牲の上にしか成り立たない原発はいらない。
続けていきましょう、一人ひとりの行動を。


玄海町民の多くが「原発の危険性はわかるが・・・止むを得んとさ」?
立地地元の町民と、もっともっと対話を続け、『知ろう!知らせよう!』
~12.2反プルサーマル行動に参加して~


2019,12,12 川瀨正博(脱原発電力労働者九州連絡会議・全九電同友会)

 

(1)日本最初の玄海原発3号機・プルサーマル発電開始(2009年)から10年目の12月2日、地元玄海・唐津・佐賀はじめ福岡、長崎などから市民約30人が、玄海町役場に午前9時に集合、"みんなで歩く玄海町!"をテーマにした「第10回反プルサーマル行動」に参加しました。玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会(石丸初美代表)など14団体の人たちと、脱原発電力労働者九州連絡会議も賛同団体として佐賀県唐津市と長崎県大村市からの参加者2名が行動を共にしました。

 

(2)先ず玄海町長へ要請を行いました。町長や総務課長不在のうえに、総務課担当3名が会議室も準備せず1階ロビーで30分間余り立ちっぱなしの理不尽な対応に終始しました。
先ず、石丸初美代表と3名が「原発は犠牲の上にしか成り立たない!玄海原発を1日も早く稼働停止することを求める」の要請書全文を読み上げ、総務課担当者に提出しました。

 

●石丸代表は、責任者不在や無礼な対応に抗議するとともに、「立地自治体は福島の甚大な原発犠牲に学ぶ必要があり、玄海原発を止める権利が玄海町長にもあるはずだ」ということを指摘しました。そして、「町長から直接の回答を求める」と強く要請し、担当者は「町長に伝えて回答する」と約束しました。
そして、代表など延べ7名が、「原発は動かさないのが一番の原子力防災である」「危険な原発再稼働を容認した玄海町長の責任も非常に重い」として、具体的な問題点をあげて批判しました。

 

●玄海町から参加の青木一さん(農業)は「原子力規制委員会が事故リスクはゼロでないと明確に表明している。ちゃんと受け止めるべきだ」と、安全が保証されていないことを強調。大気中への放射性物質の放出や海へ排出中の「トリチウム」の危険性、温排水の影響など、生活を脅かしている実態を訴えました。

 

●私も今の利権がらみの巨悪スキャンダルである「関西電力の原発マネー不正還流事件」に関して、発言する機会を最後に与えてもらいました。
福井県高浜町元助役から関電幹部の3.2億円の金品受領や原発関連工事業者から関電役員への金品提供、地元業者への高浜原発工事発注疑惑などが発覚後も、福井県職員の金品受領、関電から高浜町への寄付金問題など底なしに広がる疑獄事件。そこで、立地自治体の高浜町役場が1970年以降に、関電から少なくとも43億円余の寄付金を受け取り、寄付実績や使途の不透明さが明らかになっていること(11.24産経新聞)を取り上げました。
九電から多額の寄付金・協力金等を受け取っている玄海町でも同様の事例がないのか、「原発寄付金や協力金など、原発関連マネーを過去に遡り調査・公表すること」を要請しました。そして「立地自治体への原発マネーは、周辺30k圏内自治体・住民等を置き去りにした原発推進策そのもので、原発不信の最たるものではないか」と、不十分な避難対策を強いられ同意権もない長崎県内の松浦市など30k圏内の自治体・住民の批判が多いことを指摘しました。併せて他の人からも、町長など職員の金品受領がなかったのかも調査すべき、との指摘がされました。「玄海町は問題ないとか、記録等が残っていないから、分からない」ということでは済まされません。
なお、プルサーマル導入や玄海再稼働で「ヤラセ世論偽装事件」を引き起こし、コンプライアンス行動の徹底を自負する九電は金品受領問題に限らず、寄付・協力金や税金、巨額の原発工事など、立地自治体・首長や地域団体、大手・地元工事業者、政治家等への不透明な原発マネーを積極的に公表すべきです。「協力金・寄付金等は地域振興の立場で協力しており、地域と相手方もあることなので個別の公表は差し控える」との不可解な理由で、恣意的で都合の悪い原発マネーの公表を拒んではなりません。

 

●玄海町要請行動は初めての参加でしたが、私たちの要請を黙って聞いてメモを取るだけで、責任者不在の対応は許し難いことです。町長出席のもとで、直接回答をさせる機会が絶対必要と思いました。

 

(3)要請終了後は30人が9班に分かれて約2時間、玄海町全戸約4割の800戸を個別訪問。
★猛毒のプルトニウムを扱うプルサーマル発電3号機は危険!
★使用済核燃料は増大し、玄海は永久に「核のゴミ」置き場に!
など記載のチラシを個別に配布し、在宅の人たちとは積極的に対話を行いました。

 

●私は一人で約25戸をゆっくりと訪問ができ、在宅されていた町民9人(女性7、男性2)と各5分~10分程度の率直な面談ができ、予想以上に好意的に応じてもらいました。中には、道端を歩いていた2人の女性も話を聞いてくれました。殆どの人が説明にうなずかれ、プルサーマル発電・プルトニウムの危険性や使用済核燃料の保管と再処理、放射性廃棄物の最終処分、廃炉処理、ヨウ素剤の配布、原発マネーなど、私たち以上に関心と問題認識を持たれていることを大変心強く思いました。
一方では、一人の男性に「以前も入っていたが、チラシはいらん」と断られましたが、チラシを手渡して長崎から来たことなどを話し始めると、「危険性は分かっている。しかし、息子は原発の建設関係の仕事をしているので・・・(仕方がない)」と、複雑な心境を吐露されました。「原発が無いと、家族や町民の仕事、町の行政運営、町民の生活に大きく影響するので・・・」と雇用などを不安視する人が多い印象を受けました。結局のところ「表では原発反対と言えない状況がある」との、原発城下町特有の現実問題を直接知ることができ、脱原発・原発ゼロに向けた課題の一つであることを認識しました。

私は、「悲惨なフクシマ事故を繰り返してはならないこと」を強調し、「国策による巨額の原発交付金を止め、新たな地域振興支援策に切り換えることや自治体・住民独自で原発に代わる再生可能エネ関連等の産業育成、農漁業の再生などを考え、子や孫の代に原発の負の遺産を残さないことが大切ではないか」などと。少し話すことができ、町民の中からも積極的な意見が出てくることを期待しています。

 

●なお、戸別訪問の途中に見かけ、今年9月に開設された地元対策の拠点「九電玄海事務所」(社員5名)にも立ち寄りました。プルサーマル反対のチラシを手渡し、町長要請と戸別訪問のことも伝えて、再稼働前の虚偽パンフ配布や原発再稼働による電力の大幅過剰、使用済核燃料などの問題を少し取り上げ、責任者と質問・意見等を交わす機会もありました。不都合なことは話さないとの姿勢は相変わらずでした。

 

(4)行動の最後、14時~16時まで、玄海原発近く公民館での全体集会に参加しました。参加者全員の個別訪問活動報告や唐津市全世帯への「安定ヨウ素剤」の事前配布要請の件、11.30原子力災害避難訓練問題など、プルサーマル裁判の会の石丸代表と永野浩二事務局長から分りやすい報告と問題提起があり、熱心な意見交流と情報の共有化が深まりました。私は、11月18日の佐賀新聞報道の佐賀県民世論調査の「玄海原発運転継続に反対46.5%、賛成44.6%で2年ぶり賛否逆転」の有用な記事を紹介し、反対が賛成を上回った佐賀県民世論を大いに生かし、今回の行動のような市民に寄り添う運動に自信と確信をもって、さらに前進させていきましょう!と訴えさせてもらいました。

 

(5)玄海プルサーマル裁判の会はじめ佐賀、福岡の市民団体の皆様が、地道に継続の戸別訪問・対話活動や座談会、九州電力はじめ立地自治体・議会等への要請・申し入れ・抗議行動および街頭宣伝そして長期の裁判闘争など。即行動と群を抜く情報発信力は常に注目され、期待と支援の輪が広がっています。
私たちも「反原発の固有種」となる事を自覚し、皆さんともさらに連携を深めて、「大切なのは知らせること、続けること」を、可能な限り実行しようと思っています。 ~自分一人一人ができることを~ 


第10回 12・2 反プルサーマルの日 要請書
原発を動かさないことが一番の原子力防災
玄海原発の稼働を直ちに止めてください

2019年12月2日

玄海町長   脇山伸太郎 様
佐賀県知事 山口 祥義 様
九州電力㈱代表取締役社長 池辺 和弘 様

 

 2009年12月2日、九州電力は玄海原発3号機において日本初のプルサーマルの商業運転を強行した。 プルサーマルでは普通の原子炉に猛毒物質プルトニウムを混ぜたMOX燃料を燃やす。制御棒の効きが悪くなり、事故時の放射能被害の範囲は4倍とも言われている。2006年に来佐したエドウィン・ライマン博士は「住民はモルモット」だと警告した。住民はプルサーマルと原発稼働に理解も納得もしていないとの意志を、2010年12月2日から毎年この日に示してきた。

 

 3号機は2010年12月、ヨウ素漏れ事故を起こし運転停止した。3.11東京電力福島原発事故をはさみ、7年3か月止まっていたが、玄海町長と佐賀県知事の同意を受けて、2018年3月に再稼働した。そして今、使用済み核燃料は最終処分地も決まらないままに増え続けている。

 

 3号機からは3サイクルの運転を終えた使用済みMOX燃料が来年8月には出る。使用済みウラン燃料と同程度に冷えるまで「300年以上かかる」と国は言う。九電は「プールはコンクリートとステンレスだから壊れない」(2019年4月15日)と言うが、300年間燃料プールで安全に保管できる保証はどこにもない。その先の処理方法も何も決まっていない。さらに、プールが満杯に近いためにリラッキングを行って、現在の1.6倍の使用済燃料を詰め込もうとしている。そうすれば危険度が一層高まる。
 今や国策で進められた核燃料サイクルが破綻したことは誰の目にも明らかである。その破綻を取り繕うためにプルサーマルを続けることは許されない。

 

 東日本大震災の後も日本中あちこちで大きな地震が起き、台風や大雨による被害も私たちの暮らしを襲う中、玄海のこの地が被災しないという保証はどこにもない。九州電力は安全に努めるというが、自然災害の前に私たちはなす術を持たない。そして、ひとたび原発が事故を起こしたら、すべての生き物と自然環境が放射能に汚染されてしまう。故郷を捨てて避難するしかない。原発が動いているために、私たちはこうした恐怖と不安をもって日々暮らさざるを得ない。


 原子力災害避難計画は被ばく前提となっており、放射能から命を守ることはできない。事故を起こす前に、これ以上危険な使用済み核燃料を出さない、危険な原発を動かさないことが一番の原子力防災である。

 玄海原発の稼働を強行する九州電力社長、それを容認する玄海町長と佐賀県知事の責任は非常に重い。12.2の今日、改めて要請する。

 

【要請事項】
原発は犠牲の上にしか成り立たない。
玄海原発を一日も早く稼働停止することを求める。

 

あしたの命を考える会/今を生きる会/風ふくおかの会/玄海原発反対からつ事務所
原発知っちょる会/原発を考える鳥栖の会/さよなら玄海原発の会・久留米
戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/脱原発電力労働者九州連絡会議/たんぽぽとりで
怒髪天を衝く会/東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会


◆ポスティングしたチラシ

ダウンロード
20191202反プル玄海町要請●.pdf
PDFファイル 186.5 KB
ダウンロード
20191202配布チラシ.pdf
PDFファイル 424.7 KB

◆報道