【2/2佐賀県原子力安全専門部会第4回会合傍聴メモ】

2月2日、「玄海原発再稼働に関して広く意見を聴く委員会 原子力安全専門部会」の第4回会合が開かれ、傍聴してきました。
いくつか印象に残ったやりとりを簡単に報告します
※写真は、会場内が撮影禁止(動画公開もされず)のため、会場外の看板を撮影。お葬式ではありません(笑)。

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2月2日、「玄海原発再稼働に関して広く意見を聴く委員会 原子力安全専門部会」の第4回会合が開かれ、傍聴してきました。
今回は、九電から「竜巻」「内部溢水」「火災」「原子炉建屋の基礎地盤の安定性」などの説明と、地震など前回の補足説明があり、国・原子力規制庁から審査概要の説明がありました。
いくつか印象に残ったやりとりを簡単に報告します。(拙い報告ですので、詳細は議事録をお読みください。)

 

・地震について前回、竹中博士・岡山大学教授(地震学)が活断層連動地震の問題を数多く質したことに対して九電が回答。竹中氏は再質問しましたが、九電が再回答すると、質疑は終わってしまいました。

3回の会合を通じて、地震問題はこれで終わりです。玄海をはじめ、全国の原発で市民や心ある専門家のみなさんが大問題にし、裁判でも最大の争点となっている基準地震動の過小評価問題は、今日もまた触れずじまいでした。
「専門家」とされる委員のみなさんは、そういう市民の危機意識にまったく関心がないのでしょうか!

 

・火山問題について、竹中氏が「事業者の九電が火山モニタリングをするというが、学生レベルとしか思えない。中途半端にしか見えない」と批判するも、規制庁は「IAEAのレベルに沿ってやっている。事業者がマグマの変化をモニタリングして、それを国に報告してもらって、国はそれを判断する」と繰り返すばかりでした。

 

・緊急時対策所が100人のスペースしかないことについて、續輝久・九州大学教授(放射線医学)が「これでは対応できないのではないか」と質すと、規制庁は「我々の評価の中ではこれで大丈夫だが、安全確保に境はないので、さらなる安全性を事業者が工夫すればいい。九電は厳しい状況が起きた時でも52名の体制で必要な対応ができるということなので、ローテーションを組んで代わりながらやればいい」と回答、續氏は「理解しました」と、質疑は終わりました。「52名でやる体制になっているから余裕がある」というのは、議論が逆でしょう!

 

・すでに許可を受けている施設にも新しい規制基準を適合させることを求めるバックフィットについて、部会長の工藤和夫・九州大学名誉教授(原子炉工学)が「(バックフィットが)これまでになかったので、評価するが、その手法は定まっているのか」と質すと、規制庁は「規制基準に加えればバックフィットを求めるということになるが、条文に加えるかどうかの判断が難しい。世界にこれだけあるので、新たな知見は日々出て来る。それを基準にいれるかどうか、規制委員会での議論に尽きる」と回答。
工藤氏は「法規制という形での規制が重要と思うので、そのへんを今後重視してやっていただきたい」ともっともらしく述べました。
連続大地震という熊本地震の警告はどうするのでしょうか。基準地震動が過小評価であること、現行の計算式に矛盾があることなど、新しい知見がどんどん出てきています。それらを無視した結果が、東京電力福島第一原発の事故だったのではないでしょうか。疑わしいものは、より安全側に規制を強化すべきです。

 

・原子炉建屋等の基盤地盤の安定性について、井嶋克志・佐賀大学教授(地震工学)「傾斜の目安が2000分の1というのは、もう少し安全にしてもいいのではないか」、竹中氏「熊本地震でも問題なったが、九電のロジックがあまり正しくない気がする」などと指摘しましたが、九電は「安全性に問題はない」と回答しました。どんよりとした空気の中、やりとりは終わりました。

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・・・などなど、今日も休憩5分はさんで4時間20分の会合でした。

傍聴を終えて、仲間と「フーッ」と大きく溜息。
市民が聞きたい肝心なことがそもそも議題にならない。
もっともな指摘があっても、ちょろちょろっと説明して、うやむやに終わるだけ。
こんな調子で、九電と国が説明をこなして、工藤部会長がもっともらしく締めくくって、おしまいにするのでしょう。
部会長自ら「経済やエネルギーのためには安全上のリスクを含むものでも使う必要がある」(2012年3月14日朝日新聞)と言っていますから。
再稼働容認が規定路線の専門部会に何ら期待しませんが、だからこそ、ここで何が話され、専門家が何を言い、九電や国がどうこたえ、県がどのようにふるまうのかを、市民として監視し、みなさんに知らせていきたいと思います。「この場で、こんな酷いことが進められてますよ!」「こんな問題点に、九電は何も答えてませんよ!」と。
「広く聴く委員会」委員への働きかけ、市町や議員への働きかけ、知事への要請、そして裁判etc…、再稼働止めるためにやっていかなければならないことが山のようにたくさんありますが、委員会・専門部会傍聴についても、みなさん、ぜひお願いします。
議事録も出されるはずので、ぜひ検討して、次の行動に活かしましょう。

 

★次回第5回専門部会は
 2月11日(土)午後(場所未定)です
前回、県への批判的意見も噴出した親委員会の「再稼働に関して広く意見を聴く会」第二回会合は
 2月8日(水)10~15時 佐嘉神社記念館 と決まりました。

※ちなみに、「やらせ・仕込み」プルサーマル討論会をはじめ九電とべったりの出光一哉・九大教授は2回連続欠席でした。委員を引き受けないでほしいと思います。

 

◆「玄海原発再稼働に関して広く意見を聴く委員会&原子力安全専門部会」初会合傍聴記
https://saga-genkai.jimdo.com/2016/12/26/a/
◆第3回専門部会傍聴記
https://saga-genkai.jimdo.com/2017/01/19/a/

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■報道

◆佐賀新聞

 

【原子力専門部会、規制庁から聴取 学識者が審査内容ただす】
(2017年02月03日 09時46分 )
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/401749