【これからもみつばちを伴侶として暮していけるよう願っています~玄海原発全基差止裁判、養蜂家の吉森さんが訴えました】


2月5日、佐賀地裁にて玄海全基運転差止裁判と行政訴訟の口頭弁論、仮処分審尋が行われました。
基準地震動評価の際の“経験式のばらつき”については、私たちは新しい重要な論点として陳述するなど、闘いは佳境に入っています。
全基裁判では、唐津市にお住まい養蜂家、吉森康隆さんが意見陳述を行いました。
吉森さんは、菜の花、れんげ、みかんの花などから蜜を集めるミツバチとともに生きてこられた暮しを紹介しながら、
「玄海原発で事故が起きれば、私の生きる基盤である唐津の海、山、大地は奪われてしまうことでしょう。私はこれからもみつばちを伴侶として暮していけるよう願っています。地道に農に生きる者の人格権をどうぞ守ってください」と、やさしくも力強く訴えられました。

下記陳述前文をぜひお読みください。
(法廷の詳細はあらためて報告します)

※写真1 入廷前アピール行動。右端が吉森さん。
写真2 今日も九州各地や高知、遠くは茨城から、仲間たちが駆けつけてくれました!
写真3 10時半開廷ということで、早朝から大阪からご足労いただいた弁護団とともに入廷。
写真4 原告でもあり、GEの統括管理マネージャーとして福島原発で働いて来られた菊地洋一さんも宮崎から駆けつけ、報告集会とその後のお話会で、身も凍るような現場の恐ろしいお話をしていただきました。



 

陳 述 書
2016年2月5日
佐賀地方裁判所 御中
住所 佐賀県唐津市
氏名 吉森康隆


1.
 このたび、本法廷において意見陳述の機会をいただきました吉森康隆と申します。68歳です。1947年吉森養蜂場創立の年に生まれました。
 唐津市の山手に住んで、この40年間養蜂業を生業とし、生計を立ててまいりました。食べ物を作る、いわば第一次産業の立場からプルサーマルを含む、原子力発電についての私の思いをこの機会に述べさせていただきます。

 養蜂場ではさまざまな蜂蜜を取り扱っています。春から夏にかけて菜の花、れんげ、みかんの花や自然林の花、つまり樹木の花からミツバチは蜜を集めます。循環する農業と里山によってこの仕事は支えられておりますが、一方、花粉交配によって農業を支えている、とも言うことができます。つまり農業とは共存共栄であるということです。近年環境破壊や農薬の影響によりミツバチは減少していますが、ミツバチの飛び交う環境は、人間にとっても住みやすい環境である言って良いと思います。
 私の仕事はこの緑の環境と水と農、それらを土台として成り立つものです。
 日々の作業を続けながらこの地域が持続可能であり、この仕事がこの先も続けていけるよう願いながらの毎日です。
 東京電力福島第一原発事故では、その自然と農が壊されてしまいました。事故から5年が経とうとする今も、又、この先何十年にもわたって放射能の被害は続く事でしょう。

2.
 私の働く現場から玄海原発が見えています。経済、そしてエネルギー優先の光景が、棚田という、人が遠い時間をかけて作りあげてきた風景の向こうにそびえたっています。
 福島原発事故後、福島では野菜農家が自ら命を絶ちました。そして私と同じ畜産農家のひとりもまた同じ運命を辿りました。同じ食べ物を作る立場である私にとって他人事とは到底思えません。直接的には我々農家が影響を受けることになるのでしょうが、その影響は食べ物を通して日本のみならず世界中に広がってしまうことになります。
 食べ物によって取り込まれた放射能はその種類によって体の各部位に蓄積します。放射能を含んだ落ち葉がそこにあったとしても通り過ぎれば、その場では被曝は少なくて済むかもしれませんが、放射能がいったん口や鼻から体に取り込まれると、一定期間体のその場にとどまり、至近距離で放射線を出し続けます。
 放射線が染色体や体の細胞を傷つけ、さまざまな疾患の原因になることは今や広く知られているところです。子供たちへの影響は大人の数倍とも言われさらに重大さを増して行くことでしょう。

3.
 1986年のチェルノブイリの事故後、日本のさまざまな食品流通機関により放射能が水際でチェックされていたのを、我々は忘れていません。
 風や水といったものだけではなく、市場原理によっても放射能は拡散することを我々は見てきました。汚染食品が安く買い叩かれ流通してしまうこともありうることでしょう。産地が偽装されたり隠されたりしていた事実も報道されておりました。
さて日本での現状はどうでしょう。
 水道水は福島原発事故前の放射線量が、0.00004Bq/L(※)だったのに対し、10Bq/L(25万倍)が基準とされ、お米は事故前の放射線量が0.0124Bq/Lだったのに対し、事故後100Bq/L(8300倍)が基準だと、国民が知らないうちに決められていました。こんな状態で毎日の買い物ひとつにも産地は一体どこなのか、と神経質にならざるを得ません。
 命を軽んじた経済復興に何の意味があるのだろう、というのが私の率直な思いです。

4.
 最近、仕事での技術交流のためアジアに行く機会を得ました。印象深かったのは日本にも影響が及んでいる大陸の公害の霞がヒマラヤも覆い隠すほどアジア全体を覆っていることでした。翻ってわが国の福島原発事故の対処、その後のあり方に思いが及び呆然としました.福島では多くの放射能が太平洋に落ちました。偏西風を通じ、又海流を通じて他の国に迷惑をかけ続けているのが現状です。他の国をとやかく言える立場ではありません。

5.
 玄海原発で事故が起きれば、私の生きる基盤である唐津の海、山、大地は奪われてしまうことでしょう。私はこれからもみつばちを伴侶として暮していけるよう願っています。地道に農に生きる者の人格権をどうぞ守ってください。

私は今、司法のみがこの国を立て直すことができると信じています。どういった力にも影響を受けず歴史を立て直す判断の力です。それは生命の側に寄り添った、やさしくも力強いものに相違ありません。
 自然と農、すなわち命のための判断を下されるようお願いして、陳述を終わります。

(※)セシウム137 の値。福島原発事故前は明確な基準値がなく、全国の食品のセシウム平均値が示されている。事故後は厚生労働省の平成24 年度基準値。
出典:日本分析センター平成20 年度事業報告書
http://www.jcac.or.jp/uploaded/attachment/57.pdf

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意見陳述 吉森康隆さん
2015年2月5日
20160205意見陳述吉森.pdf
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裁判書面

過去の書面はコチラから 

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玄海全基被告準備書面7
2016年1月22日(被告提出)
20160122玄海2次九電準7★.pdf
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被告答弁書
2016年1月22日(被告提出)
20160122玄海2次追加提訴九電答弁書★.pdf
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玄海全基準備書面(11)
2016年1月29日(原告提出)
20160129玄海全機原告準11★.pdf
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行政被告第7準備書面
2016年1月22日(被告提出)
20160122行政被告第7準備★.pdf
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行政準備書面(4)
2016年12月25日(原告提出)
20151225玄海行訴原告準4★.pdf
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