玄海MOX裁判不当判決に控訴しました

4月3日(金)午前11時、佐賀地方裁判所に対して、玄海MOX不当判決への控訴申立てを行いました。

3月20日の判決に対して、すべて納得できないとして、MOX裁判原告の98人が新たに控訴人となりました。

“3.11”前から本裁判に関わっている仲間のみなさんの「原発いらない!」の強い思いをあらためて感じました。

悪天候でしたが、裁判所に入廷する時だけは、雨がいったん止んでくれました。

天はわれらに味方しているようでした。

無事、受理された後、佐賀県庁にて記者会見を行い、「控訴声明」を発表しました。

声明は、90ページにわたる判決文への批判点をギュッと凝縮して書き込みました。

声明文と、それに沿った「判決文」の引用資料をぜひご覧ください。

判決文はあからさまな国策追随の酷い文章で、ある意味、わかりやすいです。


5月までに、控訴理由書を作成、控訴審は福岡高等裁判所にて夏以降に開かれることになると思います。

すべての原発をなくして、心の底から笑いあえる日が来るまで、ともに連帯して行動していきましょう!


ちなみに、3月20日玄海MOX裁判で不当判決を下した佐賀地方裁判所の波多江真史裁判長は、4月1日付で東京高裁へ異動(最高裁人事)だそうです。わかりやすい人事です。



声明 不当判決に控訴する

2015年4月3日

玄海原発3号機MOX燃料使用差止訴訟原告団

団長 石丸初美


2015年3月20日、佐賀地方裁判所は「玄海原発3号機MOX燃料使用差止請求事件」、において、原告住民の訴えをすべて棄却する判決を下した。

2010年8月9日の提訴以来4年7か月にわたった裁判、裁判長らは主文読み上げわずか数秒であっけなく法廷から消え去った。

判決は――

・国の判断に無条件に従い、裁判所独自の判断を放棄した。

・「主張立証責任」は被告が負うべきとされた伊方原発最高裁判決の判例を踏みにじり、命の尊さより企業秘密を優先し、極めて限られたデータしか得ることができない原告に責任をおしつけた。

・MOXとウランの挙動について、頭から「同等性を妥当」とすることによって、具体的判断を排除し、プルサーマルを進める国策に追従した。

・使用済MOX燃料の危険性について、何ら認めなかった。

よって、この不当判決に対して、私たちは本日、控訴するものである。


1.主張立証責任について


伊方原発訴訟において最高裁判決(1992年10月29日付)は、高度かつ複雑な科学技術を用いて運転する原発は、資料をすべて設置者が保持していることなどから「被告において、まず、その安全性に欠ける点のないことについて、相当の根拠を示し、かつ、必要な資料を提出した上で主張立証する必要がある」とし、これが原発裁判における基本的なスタンスとされてきた。

しかし、佐賀地裁はこの最高裁判例を引き合いに出しながらも、「被告は国の基準を満たしていることを確認した」というだけで被告の立証責任を免除し、後はすべて原告に立証責任を負わせた。これではどんな場合も原告に立証責任が負わされ、国民の異議申し立ての権利そのものが侵害されることになり、司法の責任放棄である。

被告に対して、すべてのデータを開示させて、安全根拠について主張立証を尽くさせるよう司法の責任を果たすべきである。


2.最大の争点、MOXとウランの挙動の違いについて


国の基準として判決が重視している「燃料設計手法について」では、MOXとウランの体積膨張が「同様」であるから同じモデルを用いるとしているが、その「妥当性が確認されている」との記述はない。

「妥当性」は、事実に即して検証されるべきである。玄海3号機では内圧の余裕がわずか1%という条件(伊方原発3号機は9%、高浜原発3・4号機は15%)だからこそ、特に具体的な検証が必要である。原告は、弁論準備や証人尋問においても科学技術的に踏み込んだ主張を行い、まさにその検証を行ったのである。

しかしながら、佐賀地裁は被告の言い分を丸のみにして、頭から「同等性を妥当」とする立場に立って、具体的判断を排除したのである。今回の判決の判断には原告の主張への誤解まで含まれている。原告主張への判決の批判点の多くは、3回約10時間に及ぶ弁論準備の中で明らかにできる内容だったが、裁判所は結局は独断的な判断に終始した。

さらに、被告の出してきた証拠を基に行った原告の検証について「外国の原発のデータを適用することはできない」としたが、そもそも、外国の事例を安全材料として使ってきたのは、国や被告である。玄海3号のデータなど無い中、この姿勢では、あらゆるデータの使用が禁止されることになってしまう。

本年2月12日に原子力規制委員会は高浜原発3・4号機のプルサーマルにおいて、MOXとウランとで「同じ基準を適用すること」「MOX燃料に特定した基準・審査ガイド等は必要ない」とする「考え方」を示したが、裁判所はこれとの対立を避け、国策に追従したのである。


3.使用済MOX燃料の危険性について


「超長期保管の間に劣化が進んで地震で崩れるという点は、具体的内容は明らかでない」として、原告に立証責任を負わせた。

「政府が高レベル放射性廃棄物の最終処分へ向けた取り組みを強化し、国が前面に立ってその解決に取り組むとともに、中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設等の建設・活用を促進する旨閣議決定していること」を、佐賀地裁は管理の安全性の根拠として認めたが、実際には廃棄物の処理処分の方策など一歩も進んでいないという現実に目を向けていない。

原子炉等規制法において、使用済み燃料の処分方法については「廃棄の方法」を記載した申請書を経済産業大臣に提出し許可を得ることと規定されている。しかし、判決では「規定の趣旨は(処分方法の)適正を図ることにあると解される」などとして、「搬出までに政府の確認」を受ければよいとしたことは、避けては通れない核のゴミ問題がクローズアップされる中で、裁判所自身があまりにも無責任な違法行為を認めたようなものである。

使用済MOX燃料については、被告九電が100年以上の超長期にわたる具体的な安全策を立証すべきである。


4.私たちの決意


この判決は、東京電力福島原発事故の甚大な犠牲をふみにじるものであり、司法の独立性を放棄したのである。

私たちは、福岡高裁で危険な玄海3号プルサーマルの停止を目指す。

さらに、国策である核燃料サイクルがうまくいかず、苦肉の策として始められたプルサーマルの危険性について引き続き追及し、再処理・核燃料サイクル政策に完全に終止符を打たせるべく行動していく。

原発は動き続ける限り放射性廃棄物を増やし、それを未来の世代へと押し付ける。被曝労働者なくして維持できない施設でもある。子どもたちに夢を持てるような社会と、安心して暮らせる地球を渡さねばならない。

私たちは、「何をやっても仕方ない」などとあきらめるようなことは決してせず、不当判決に屈することなく、原発事故を再び起こさせないために、「原発のない社会」を目指し、すすんでいく。

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