【出てきてしまった玄海3号使用済みMOX 処理「具体的には決まっていない」  1年待たされた挙句に、不当な制限ばかりの九州電力本店交渉報告】

 

10月6日、九州電力本店と交渉の場を持ちました。

前回交渉の昨年10月21日より、回答を1年も待たされました。

 

交渉前、いつも以上の過剰な人数制限(15人まで)、時間制限(1時間)、撮影制限(冒頭以外は禁止)、"遅刻"禁止、交代禁止などが条件として示されたので、抗議・交渉して、人数20人などいくつかは譲歩させました。

また、いつものことですが、文書回答を求めている(その上での直接の話し合い)のにすべて口頭回答(九電の手持ち文書の読み上げ)のみ。数字資料はホワイトボードに「板書するから書きとれ」という高圧的な対応の中での限られた時間での交渉でした。

私たちはまず、新たな要請質問書を提出し、玄海原発の稼働を停止することとあわせて、九電がコンプライアンスに則って住民に真摯に対応することを強く求めました。

質疑は絞り込まざるを得ませんでしたが、大きな問題として、プルサーマルを実施している玄海3号機から、この9月にとうとう現実のものとして出てきてしまった使用済みMOX燃料問題を追及しました。

猛毒の使用済みMOXを年限も区切らずにプールに放置しておきながら、「何年置いておくのか、数字は持ち合わせていない」「第二再処理工場について、具体的なことは何も決まっていない」「住民には『当面置いておく』とは話しているが、後のことは話していない」と平然というばかり。あまりに無責任な九電の姿勢が露わになりました。

 

また、「玄海原発上空を所属不明の飛行機が飛行している」件について、2001年以降の20年間で110回もあったことが分かりました。不明機が原子炉のほぼ真上を飛んでいるケースもあります。危険が放置され続けてきたのです。九電は自治体、住民にもまったく連絡してきませんでした。原発立地県の知事でつくる協議会から国に対して「飛行禁止法制化」の要望が何度も出されていますが、何の対処もされてきませんでした。航空機落下事故が起きてしまう前に、原発の運転自体を止めるべきです。

 

日常的な放射性廃棄物、廃炉に伴う放射性廃棄物の処理や、原子炉圧力容器の脆性遷移温度の問題などについても質問し、1か月以内の回答を求めました。

 

国も九電も核燃料サイクルの破綻を認めて、放射性物質をつくり放出する原発を止め、住民に放射能被ばくという犠牲を押し付けるのをただちにやめるべきです。

そのために、私達は引き続き声をあげ続けていきます。

 

<参考>昨年10/21九州電力本店交渉報告

https://saga-genkai.jimdo.com/2019/10/22/a/


  要請・質問書  

処理方法がないままの使用済みMOX燃料

核のゴミをこれ以上増やすな! 玄海原発の稼働停止を求める

2020年10月6日

九州電力株式会社 代表取締役社長

         池辺和弘 様

あしたの命を考える会/今を生きる会/風ふくおかの会/玄海原発反対からつ事務所

原発知っちょる会/原発を考える鳥栖の会/さよなら玄海原発の会・久留米

戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/脱原発電力労働者九州連絡会議/たんぽぽとりで

怒髪天を衝く会/東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会

プルサーマルと佐賀県の100年を考える会/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

 

 昨年10月21日、私たちは貴社に要請質問書を提出し、交渉の場を持った。多くの質問について貴社はその場で回答せず、「できるだけ早くに回答したい」と約束した。それから約1年も待たされて、ようやく今日の場を持つこととなった。山口祥義・佐賀県知事は貴社に対して、「ウソをついてはいけない」「県民を裏切ってはいけない」と何度も言ってきたが、その約束がまったく守られていない。

 また、回答・交渉の場では動画と写真の撮影は冒頭のみ許可し、あとは不可だという。これは「原子力基本法」に明記された「自主、民主、公開の三原則」にも反する。

 これらのあまりに不誠実な対応に強く抗議する。

 

 玄海原発3号機が再稼働後2度目の定期検査に入った。使用済み核燃料は、六ケ所再処理工場に搬出するとしているが、同工場は今年8月、25回目の「完成延期」となり、動く見込みはない。また、3サイクル使った16体の使用済みMOX燃料の処理・処分方法は具体的に何も決まっていない。私たちが貴社に何度も追及してきた使用済みMOX燃料という毒物の処理の問題が現実のものとなってしまった。

 国も九州電力も核燃料サイクルの破綻を一刻も早く認めるべきだ。猛毒の核のゴミを増やし続け、その処理や被害をすべて未来の世代に押し付けることは理不尽であり、絶対に許されない。

 

 玄海原発は事故が起きなくても放射性物質を自然界に放出し続けている。ひとたび事故を起こせば、大量の放射性物質をまき散らし、命とふるさとを奪う。今、原発での人災事故・火災も相次いでいる。頻発している地震や豪雨などの自然災害が原発事故を引き起こすかもしれない。そのたびに私達は被ばくへの不安と恐怖を押し付けられている。

 さらに、新型コロナウィルス感染症がいまだ収束しない状況にある今、密閉・密集・密接のいわゆる「3密の回避」が言われているが、原発事故時の避難では放射能被ばくを避けるために避難途中や避難所では「3密状態」となる。コロナ感染防止と放射能被ばく防止の両立は極めて困難である。

 自然災害や感染症は避けられないが、原発事故だけは人の手で未然に防ぐことができる。よって原発稼働の停止を求める。

 

 以下の要請と質問に対して、誠意ある回答を求める。

 

【 要請事項 】

 

一、フクシマは終わっていない。フクシマの犠牲に学び、玄海原発の稼働を停止すること。

二、貴社のコンプライアンスに則って、消費者・住民に対し、真摯に対応すること。

 

 『九電グループサステナビリティ報告書2020』には「九州電力情報公開の心構え」(p.100)として、以下4項目が掲げられている。

     1.お客さまに対し、積極的に情報を公開しよう。

     2.お客さまの気持ちに立って、わかりやすく、迅速、的確な情報公開を心掛けよう。

     3.あらゆる機会を通じて、お客さまの情報ニーズを把握しよう。

     4.お客さまとの間に意識・認識のズレが生じないよう、常に自己点検しよう。

 「第9回原子力の業務運営に係る点検・助言委員会」の「自主的・継続的な安全性向上等に係る最近の取組みについて」(2016年10月7日)p.3には、「原子力の安全性向上に向けた取組み姿勢」として「地域の皆さまの疑問や不安にお応えするために、積極的な情報公開と丁寧なコ ミュニケーション活動に努めます」と記載されている。九電が事故を起こしたら、被害を受けるのは私たちである。

 これらに則って、私たち市民との質問・要請・意見交換の場に於いて、以下の点について真摯な対応を求める。

 

①参加人数を制限しないこと。

②動画・写真の撮影の制限をしないこと。

③申し入れ・質問書への回答の日時・場所設定を1か月以内に行うこと。

④回答の際には、文書回答と資料の準備をすること。

 

 

【 質問事項 】

 

(1)昨年10月21日の質問に対して、回答するまでに1年もかかったのはなぜか。

 

(2)①定期検査に入った玄海3号機から使用済みMOX燃料は何体出るのか。

   ②いつまで、どこで、どのように保管するのか。保管後はいつ、どこへ、どのように搬出するのか。

 

(3)①六ケ所再処理工場の使用済み燃料貯蔵プールの残容量はいくらか。

   ②これまでに玄海原発から発生した使用済み燃料は、どこに何体保管しているか。再処理やMOX加

   工したものは何体か。

 

(4)玄海原発は通常運転中に気体と液体のトリチウムを空と海に排出しており、その量は日本一である。これは九電による放射能公害である。住民はわずかな内部被ばくもしたくない。加害企業の責任として、住民健康調査をすべきではないか。

 

(5)九電は原子力避難計画を「支援する」というが、到底納得できない。原子力災害を起こした加害者としての責任をどう考えているのか。

 

(6)今年9月、台風9号・10号の影響で、韓国では古里原発など6基の原発が「高潮と強風による塩害」で電力設備が故障し相次いで停止した。玄海原発では高潮・強風・塩害にどのような対策をしているか。

 

(7)原子炉圧力容器の脆性遷移温度の基準について、現在国は改訂作業を行っている。玄海原発について現行の基準「JEAC4201-2007」で予測を行なっているのか。改訂版との比較は行っているか。

 

(8)今までの低レベル放射性廃棄物はすべて六ケ所村に搬出しているのか。その総量はいくらか。

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20201006九電要請質問書★.pdf
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◆報道