【九電本店交渉報告~“ヨウ素漏れ事故の原因を明らかにできるまで玄海原発を直ちに止めよ】

1月13日、九州電力本店に対して「玄海原発3号機ヨウ素漏れ事故の原因を明らかにできるまで玄海原発を直ちに止めよ」と要請・交渉を行いました。

昨年7月12日に私達は玄海原発の使用済み核燃料問題を中心に要請質問をし、その回答の場が半年経ってようやく設定されたものです。

回答を待っている半年間にも、ヨウ素漏れや、火災など玄海原発では事故が相次ぎ、こうしたことを新たな質問として出しました。

 

九電は前回までの回答保留分について、事務的に答えるだけでした。

中でも、基準地震動に関する玄海の規制委審査会合での指摘に対する対策改善について、「大きな差はない」とか「直ちに経過措置は取らない」「追加の決定は無し」などと説明になってない事が多くありました。

「汚染水対策」についても、玄海原発敷地内の水脈はよく分からないが地下水は「山側から海側へと流れているから・・・大丈夫」などと答えるだけで、「素人だとバカにしてるような説明をしないでほしい」と抗議が出たくらいでした。

 

時間が制限されていたので、未回答部分について、30日以内の回答の場の設定を求めました。

 

<参考>前回2021年7月12日九電交渉報告・要請質問書

https://saga-genkai.jimdo.com/2021/07/17/a/


要請・質問書

玄海原発3号機ヨウ素漏れ事故の原因を明らかにできるまで

九州電力玄海原発を直ちに止めよ

 

2022年 1月13日

九州電力(株)代表取締役社長  池辺和弘様

 

 九州電力は昨年11月30日、玄海原発3号機で原子炉格納容器内の一次冷却水の放射性ヨウ素濃度が通常より上昇したと発表した。九州電力は、週3回だった検査を毎日検査して監視強化するとし、外部への放射能の影響はないと断定して運転を継続している。

 

 玄海3号機では、11年前の2010年12月9日にも一次冷却水の放射性ヨウ素濃度上昇を起こしている。その時は手動停止しそのまま定期検査に入り、2011年4月には再開予定と表明した。しかし2011年3月11日東京電力福島第一原発事故が起きたことで、3号機は2018年3月まで7年3ヶ月間止ったままになったが、その後も放射性ヨウ素漏れの原因調査結果は明らかにされていない。また、再稼働した直後の2018年3月30日、2次系の配管穴あき蒸気漏れ事故を起こしたが、九州電力は原子炉も止める事なく、当該配管・外装板と同じ部位の取り換えだけで対策を終えたとし、「専門家意見聴取」を実施しただけで発電再開を強行した。

 

IAEAでは、原発についての安全対策として5層の深層防護ということを言っている。その5層とは、①異常の発生の防止、②異常発生時にその拡大を防止、③異常拡大時に過酷事故への発展を防止、④過酷事故発生時にその影響を緩和、⑤放射性物質が大量に放出されても放射線影響を緩和、というものだ。この深層防護は、前段否定といって、各層の安全対策がなされていても、それが破られることを前提に対策を取るということになっている。そして、避難計画が第5層目に位置づけられている。

 ところが、日本の原子力規制上、2011年の福島原発事故以前は、過酷事故は発生しないものとして第3層までの対策をもって深層防護であるとしてきた。福島原発事故は、それまでの原子力規制が「想定外」としていた過酷事故が現実化したものであり、原子力規制について根本的な見直しが要求され、その後に出来た新規制基準には、第4層の重大事故対策は規制の要求事項として追加されたわけだ。しかしなぜか、第5層の避難計画は新規制基準の要求事項には入れられておらず、防災の問題として扱われている。この考え方からすると、第4層までをいかにしっかり規制しても、「それでもなお原子力事故は起こりうる」ということを前提として、第5層に位置づけられた避難計画に万全を期する必要性が各自治体に課せられている。

 

 しかし、この原子力防災避難計画は、どこをとっても万全とは行かず、大半の住民は被ばく覚悟で逃げるよりも「屋内退避」で放射能プルームが去るのを待てということにもなってしまった。この矛盾した対策によって、我々住民が「トットと逃げるしかない」状況に置かれていることを九州電力は本当に分かっているのか?今回の放射性ヨウ素漏れは厳然たる事故であり、大事故に発展すれば被ばくから逃れる事が出来ない住民に対し、「外部への放射能の影響は出ていない」と安直過ぎる言葉で済ましている。言い換えれば、玄海原発3号機プルサーマル炉の原因不明の放射性ヨウ素漏れにも、炉の運転を止め燃料棒を交換しようともせずに運転し続け経過を観察するなどと構えている九州電力は、いざ福島第一原発のような事故に遭遇すれば、住民らは自分が持っているすべての暮らしそのモノを投げ捨て逃げ出すしかないことを本当に理解してないからである。その態度は、重大事故が起きたら九電は第4層で事故対策で頑張るから、逃げる方はそっちで勝手にやってくれと言っているに等しいのである。

 

 九電は少なくとも、11年前の反省から、直ちに原子炉を停止させ原因追及する姿勢を示さなければならないはずだ。常に万が一を考え、放射能が福島のように外部に漏れだすことを避けるために、繰り返されるトラブルに対する謙虚さと反省を持って対処すべきである。停止させた上で、住民に安心できる納得のいく根拠を示されたい。原発から出される放射線や放射性物質やその他汚染蒸気・汚染水までも、九州電力が出すものである。九電の経営のために、住民はどんな微小な被ばくでも容認するつもりは毛頭ない。

 

 以下、要請と質問に誠意ある回答を30日以内に求める。

 

【要請事項】

(1)玄海原発をただちに停止すること。

(2)企業として自ら掲げたコンプライアンスに則って、質問・要請・意見交換の場に於いて、以下の点について真摯な対応を求める。

①参加人数を制限しないこと。

②動画・写真の撮影の制限をしないこと。

③申し入れ・質問書への回答の日時・場所設定を1か月以内に行うこと。

④回答の際には、文書回答と資料の準備をすること。

 

【質問事項】

<質問 1>【3号機1次冷却材の放射性ヨウ素漏れについて】運転中サンプリングを実施して、定期的に原子炉内の1次冷却材(水)の放射性ヨウ素の濃度を測定し、燃料棒(被覆管)に微小な穴などが発生して燃料棒中の放射性物質が1次冷却材中に漏れ出していないかを確認しているとのことである。

昨年11月29日までの通常の測定値0.11 Bq/cm3程度から、30日の測定値 は 0.74 Bq/cm3と急上昇し、異状を発見したが運転は止めず、測定の頻度を上げることによって監視強化、今日まで最高1.2~1.5Bq/cm3程度の観測値で推移しているという。住民や市民団体からの運転停止要請を受け入れていないが、今後、次回の定期検査で燃料棒などを交換する予定でいるのか?

 

<質問 1ー2>【3号機1次冷却材の放射性ヨウ素漏れについて】11年前2010年12月の放射性ヨウ素漏れでは、調査報告(偶発的にできたピンホール)によって原因が誰もが納得できるように明確にはされていないと思うが、燃料棒または被覆管から微小な穴などが確認できたのか?それは、どのような原因・要因があったのか、それが解明されたのか推測できたのかを説明されたい。

 

<質問 1ー3>【1次冷却材の放射性ヨウ素漏れについて】過去に、玄海原発では、1号機から4号機まで、このような放射性よう素漏れは何度あったのか?すべて、時系列に事象列挙と調査顛末、回答を求める。

 

<質問 2>【玄海原発のトラブルついて】玄海原発では、1昨年から続いた火災事故報告が終わらない内に、昨年11月、テロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の工事現場で火災が発生。11月末には一次冷却材への放射性ヨウ素漏れトラブル、12月には別の「緊急時対策棟」の工事現場で鉄筋が落下し、作業員2人が負傷した。このような状況に本年1月5日原子力規制委員会のヒアリング報告を九電と持ち、「安全に対する意識が不足している」と指摘、九電社長以下それを認め、「現場の安全意識を強化する考え」を示し、直に下請けまで要請すると回答しているようだ。しかし、元請~協力会社の一作業員までに安全意識が浸透していないのは、そもそも九電の安全軽視体質、住民の不安無視、自社の利益最優先という姿勢そのものが変わらないから、再発しているのではないか?具体的には何を実施するのか、そもそも原発というサイトに問題があるのではないか、回答を求める。

 

あしたの命を考える会/今を生きる会/風ふくおかの会/玄海原発反対からつ事務所

原発知っちょる会/原発を考える鳥栖の会/さよなら玄海原発の会・久留米

戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/脱原発電力労働者九州連絡会議/たんぽぽとりで

怒髪天を衝く会/東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会

プルサーマルと佐賀県の100年を考える会/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

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