【看護協会長、介護老人保健施設協会会長らも「再稼働反対」表明!】

●看護協会長、介護老人保健施設協会会長らも「再稼働反対」表明!
~第3回「再稼働に関して広く意見を聴く委員会」(2017年3月13日)傍聴記
 
3月13日、佐賀県の設置した「再稼働に関して広く意見を聴く委員会」の第3回会合が開かれました。
1回目は顔合わせ、2回目は国と九電から一方的な説明。
そして今回は、30人の委員それぞれから一言ずつ意見を言うということでした。時間調整がつかず、午前と午後の部に分け各12人が意見を述べました(午前分、午後分)。
経済団体からは「電気代、安定供給、温暖化。経済を考えたら、再稼働やむを得ない」との古色蒼然とした意見がいくつも出ました。
佐賀県JA組合長は再稼働やむなしを述べましたが、伊万里市農協の組合長は「原発がなければ電力不足する、ということはない。第二の福島をつくってはならない。再稼働について非常に不安である」と述べました。
老人福祉施設協議会会長も「賛否両論だが大方は再稼働容認。5キロ圏の施設長に聞いたら安全が整備された、事故が起きないということなので、そこを信じたい」と容認しました。
しかし!
これまでに発言のなかった三根哲子・佐賀県看護協会会長は「看護職は必然的に被ばく者になるが、人の命を救わなければいけないという職業倫理がある。福島ではふるさとに戻れない現実。再稼働やむなしと国民を妥協させるのではなく、再稼働を認めない判断が必要。女性は特に命に関心を持っている」とはっきりと述べました。また、介護老人保健施設協会会長も「再稼働反対」とはっきり述べました。
 
三根哲子・佐賀県看護協会会長の発言要旨
「我が国は化石燃料で経済成長してきた。環境汚染を体験し、失敗を繰り返し、努力してきた。クリーンエネルギーとして原子力が進められてきた。しかし、広島、長崎、チェルノブイリ、福島。我々にはなすすべがないとわかった。
国民の安全安心を担保してほしい。代替エネへ。原発廃止は当然の方向性だと確信している。
看護職としての意見。被ばく者に最初に対応する職業。人の命を救わなければいけないという職業倫理がある。必然的に被ばく者になる。
福島では立ち入り制限が解除になってもふるさとに戻らない現実は連日報道されている。
原発再稼働やむを得ないと国民を妥協させるのではなく、政策をかえるべき。県行政としては、再稼働を認めない判断が必要。
女性は特に命に関心持っている。」
 
最も弱い立場の人達に寄り添っている方達の発言は重たいものです。
山口知事はこうした声を無視することができるのでしょうか。
 
柳瀬映二・佐賀県平和運動センター事務局長は説明会での一方的な説明の仕方を批判しながら「住民の命と財産を守るのが自治体の責務。電気は足りている。再稼働はしないでほしい」と強く訴えました。
北野修・佐賀県労働組合総連合議長も、事故が起きなくても原発労働者の被ばくや白血病の多さなど地域住民の健康問題があることに触れながら、再稼働反対の意見を全面的に述べました。
 
午前も午後もそれぞれ40分、50分程度の時間に、一言ずつ発言させただけで、予定時刻よりも早くに終了しました。県は自らの言葉で何も語らず、ただただ「ご意見として聴きました」というだけ。
委員自身からも「アリバイづくりに利用されるのではないか」との批判がありましたが、今日出された再稼働に反対・慎重な意見はもちろんのこと、住民説明会で出された疑問や批判に対して、知事はすべて答える義務があります。どうしても再稼働したいのなら、時間をかけて住民の理解・納得を得てからの話です。
説明会を全市町の細かな単位で開催することを引き続き求めます!

■報道

◆佐賀新聞(2017年03月15日 10時47分)

【玄海原発意見を聴く委員会詳報 安全性めぐり賛否両論】

http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/413865

 

九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し、佐賀県が各団体の代表者らの意見を聞く「広く意見を聴く委員会」は13日、3回目の会合を佐賀市内で開いた。会長の副島良彦副知事を除く委員29人のうち、事前の書面提出を含め26人が賛否や国、県への注文を伝えた。各委員の意見を紹介する。※は欠席のため書面での意見提出者。

 

【賛成・容認】電気代上がり企業圧迫

 ※金原壽秀・JAさが組合長 代替エネルギーが確保できないうちに原発を止めれば電気料金も上がり、産業や生活に影響が出る。多額の廃炉費用を捻出するためにも、今ある原発については高い安全性が確認できれば動かしていくべきだ。

 徳永重昭・県有明海漁協組合長 主幹産業のノリ養殖は冷凍網や加工などあらゆる場面で電力が必要。代替エネルギーがより進み、電力供給にゆとりがでるまでは、原子力発電に頼らざるを得ない部分がある。

 福島光洋・県森林組合連合会代表理事会長 組合で統一した意見をまとめるのは難しかった。将来は技術を構築し、原発や化石燃料より再生エネルギーの道に進んでほしい。原発は安全に安全を重ね、再稼働に努力していただきたい。

 ※井田出海・県商工会議所連合会会長 原発の安全性については厳格な規制基準が設けられている。日本の経済力を維持し、国民の生活水準を落とさないためには原子力エネルギーの利用が必要である。

 飯盛康登・県商工会連合会会長 新規制基準に適合と判断したのであれば、玄海原発再稼働をお願いしたい。電気料金値上げは小規模事業者にとって経営が圧迫され、大変なことだと分かってもらえたら。

 内田健・県中小企業団体中央会会長 安全性が確保されるエネルギーに転換すべきと考えるが、電力料金の高止まりが中小企業を圧迫している。安全確認と地元理解を前提に原発再稼働はやむを得ないと考える。

 ※村岡安廣・佐賀経済同友会代表幹事 県内の産業界では、ほとんどの人が早期の原発再稼働をお願いしたいということで理解している。私自身そのように思っている。

 寺尾隆治・県歯科医師会会長 自分たちは専門家ではない。原子力安全専門部会でいろんな審議がされていると思っている。安全面について細心の注意を払っていただけるなら、原発再開に反対するものではない。

 佛坂浩・県薬剤師会会長 ヨウ素剤の事前配布や更新、適切な周知を徹底し、避難経路の確保は確実に行っていただきたい。安全性確保が大前提であり、そこが担保されれば再稼働も否定はできない。

 青柳直・連合佐賀会長 九電労組も抱える中で組織には賛否ある。企業の生産活動はエネルギーの安定供給が欠かせない。規制基準をクリアし、地元同意を前提に現状は(再稼働)やむなしとの判断をしている。

 

【反対・慎重】避難計画の見直し必要

 堤武彦・JAからつ組合長 国が示した新しい安全対策は格段に強化されたが、最大の関心事である風評被害問題では新たな強化策は聞いていない。このような中では再稼働に賛成とは言い難い。

 岩永康則・JA伊万里組合長 原発事故が3、4カ所で起きたら「日本の農産物は食べられない」と世界で議論になる。原発ゼロのために負担を強いられても国民は納得できるのでは。再稼働には慎重というより非常に不安。

 三根哲子・県看護協会会長 原発事故の場合、看護職は被爆者に最初に対応する職業の一つで、必然的に被爆者になるという未来は望んでいない。県民の命と安全な暮らしを守るため、玄海原発再稼働を認めない判断が必要だと考える。

 北野修・県労連議長 原発は100パーセント安全と言えず、核燃料サイクル政策も破綻している。「禍根」を絶つことが事故を経験した世代の責任ではないか。県民説明会でも再稼働反対の意見しか出てこなかった。

 藤岡康彦・県介護老人保健施設協会会長 原発を100パーセントコントロールできない現状では稼働反対。しかし、その上で玄海原発再稼働させるのであれば避難計画を早急に見直し、実効性のあるものとしてほしい。

 柳瀬映二・県平和運動センター事務局長 いち早く原発をやめ、子どもらが安心して豊かな自然が残り続けることを考えなければ。避難計画もさらに議論が必要で、そこがはっきりするまでは原発は動かさない方向で県は考えてほしい。

 ※三苫紀美子・県地域婦人連絡協議会会長 あくまで安全が保証されない限り、稼働には賛成できない。

【その他】さらに議論できる場を

 家永美子・JA県女性組織協議会会長 一度事故が起きると1次産業は壊滅的な被害を受ける。再稼働について内閣府や資源エネルギー庁だけでなく、環境省、国交省、農水省からの説明があってもよかった。

 西村陽子・県漁協女性部連合会会長 福島を視察した時の光景が今も忘れることができない。熊本地震もあり、再稼働をした場合、そういうことがないか心配。専門委員との話し合いの場も設けてほしいと思う。

 ※枝吉眞喜子・佐賀商工会議所女性会会長 県主催の説明会で参加者が少なかったのは「県の姿勢に期待が持てず、形だけのスケジュールを消化している」という住民の判断では。少なくとも30キロ圏の住民に対しては丁寧な説明責任が必要。

 池田秀夫・県医師会会長 災害発生時の医療提供体制の確保を最優先に考えてほしい。住民への安定ヨウ素剤の事前配布、被災時の情報の正確・迅速な開示、患者の搬送、受け入れなどの体制づくりを再稼働の前提条件として訴えたい。

 松永宣子・県老人福祉施設協議会会長 再稼働容認は多いが、議決したわけではない。玄海原発は安全の配慮がされ、テロなどがない限り事故は起きないと聞くのでそこは信じたいが、入所者の身の安全を考えて避難計画を立てている。

 松尾義幸・県障害者社会参加推進協議会会長 再稼働へもう進んできたところであり、いろいろ申し上げることはない。高齢者、障害者関係の団体なので、30キロ圏の避難関係に配慮を願いたい。

 岩本諭・佐賀消費者フォーラム理事長 県は県民を守る姿勢を示す必要がある。また、化石燃料を使うことで電気料金値上げをしたのなら、再稼働したら料金は下がらなければならない。県が九電に向き合う場合に把握しておいてほしい。

 山田浩史・県連合青年団事務局長 誰にでも分かるような言葉で、県としての方向を出してほしい。国の意向は正直無視して構わない。委員会を3回で終わらせず、県は何かの折にこういう話ができるような状況をつくるべきだと思う。

 ※工藤和彦・原子力安全専門部会部会長 原発についての個人見解としては「100パーセントの安全はない」との意識を持ち、安全性向上に向けて不断に取り組んでいくことが必要と考える。

  *    *

 川嵜和正・佐賀玄海漁協組合長、古舘日登美・県商工会連合会女性部連合会会長、倉光健二・県PTA連合会会長の3人は後日、書面で意見提出する。

 

=ズーム= 玄海原子力発電所の再稼働に関して広く意見を聴く委員会

 さまざまな観点からの意見や専門的な助言を受けるため佐賀県が2016年12月に設置した。農林水産業、経済、医療、労働、福祉、教育、消費者の代表者が委員となり、副島良彦副知事が会長を務める。計30人。専門家で構成する原子力安全専門部会(7人)も設けている。委員の意見は山口祥義知事が判断の参考にする。


◆佐賀新聞