【玄海再稼働県民説明会:住民の疑問と怒り噴出】

【玄海再稼働県民説明会:住民の疑問と怒り噴出】

2月21日から玄海原発再稼働に関する佐賀県民説明会が始められました。
21日に唐津、22日に武雄と開催され、九電、国の酷い姿勢、そして佐賀県知事の無責任な姿勢が露わとなりました。

◆サガテレビ

【国・九電の説明に“再稼働”不安視する声】2017/02/22 19:00
https://youtu.be/sQlSYHibZXs

残る説明会は3か所、来週27日に佐賀、28日に伊万里、3月3日に鳥栖で開かれる予定です。
2月25日には佐賀で、3月2日には鳥栖で、事前学習会を行います。ぜひご参加ください。
 ※学習会案内はコチラから→
 https://saga-genkai.jimdo.com/2017/02/09/a/


【1】2月21日、唐津説明会

佐賀県民しか入れず、私たちは身分を証明するものを提示しなければなりませんでした。

福岡の皆さんは入れず、寒空の中チラシ配りにだけ来ていただき、本当にお疲れ様でした。

質問は1人1分。4つの資料192ページに及ぶ説明を、「時間の都合ですみません。飛ばしまして」と、あっさり飛ばすページが多く、住民には何が何だかわからないまま、一方的に「玄海3・4号機は安全です」の会となりました。
沢山の方が手をあげていましたが、まともな回答は無くはぐらかし、会場の住民は皆怒りの声ばかりでした。
時間がないことを理由に、たくさんの方が質問できないまま終了しました。

会場は反原発の皆さんが多く、今回は九電の動員はなかったようで、ガラガラ状態でした。
中には推進派や、地元住民もおられたかもしれませんが、なにより主催者の県からの広報が不十分ではなかったかと思います。
これで、「住民に説明した」とされては困ると思いました。

以下、会場のやり取りの一部を紹介します。

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●会場質問)再稼働する理由はなぜですか?
エネ庁)電気は足りているように見えるが、コストはかかっている。CO2も・・全てのエネルギーも長所短所ありまして...それを踏まえて一定程度原子力を行わなければならない。
九電)原子力の安定供給には原子力は必要。安定というのは皆さんのご自宅というのもありますが、企業の電気も必要だから。

●会場)原発を作るとき、放射能は出さないと言ってきた。動いてから放射能が出るとわかった。その時から止めてくれと言い続けてきた。事故が起きたら大変だと言ってきた。そして、事故が起きたら20兆円もかかっている 。見当もつかない金額だ。ウソついて建てたんだから原発は止めるべきだ。
安全だから立てさせてくださいというのはあっても、危ないから立てさせてくださいという企業があるのか?世の中の道理に反してる!
九電)絶対事故は起こしてはならないという気持ちで、安全対策をしっかりしていきますので、ご理解をお願いしたい...。

●会場)スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマ、原因はそれぞれ違う事故は想定外です。ミサイルもありうる。これをどう考えているか?
・九電)想定外を想定外でないように、フクシマでもそうでしたが、想定外をよく考え科学的に考え、本当にそういうことだと根拠をちゃんとした後で、想定の中に取り込ん今回の規制基準はなされたと思っている。想定外を想定外にしないようなこと、ミサイルのこともございますが、そういうこともあるのかという確率の計算の中から対策をして、いろんな知見も入れながら、国防も考えながら、想定外をできるだけ小さいものに持って行くのが大切と思っている。

●会場)フクシマを教訓としてとか踏まえてとか、たくさん出てきたが、あなた方は本当にフクシマの教訓を踏まえているか?軽々しく言うな。福島の人は怒りますよ。本当にフクシマの教訓を踏まえているというのなら、再生エネルギーにシフトすべきではないか。なぜ再稼動か、国や九電の都合ではないのか?
・エネ庁)フクシマを踏まえて、世界最高水準の規制基準を作った。エネルギー基本計画の中でも最大限再生可能エネルギーを導入を考えている。

●会場)万が一の時に責任はどうとるのか。(お金以外の面で)
・エネ庁)プラントはしっかりと安全に事故が起きないようにするのは、まさに事業者の九電の責任である。万が一事故が起きた場合に国民の生命財産、あるいは身体を守るというのは国の責務でありまして、関係法に基づいてしっかりと対応する。
・九電)玄海原発の安全性については、当社が第一義的責任を負っている。今回安全対策を取りましたが、絶対に絶対に使わないような心構えで、しっかりと運営していくつもりだ。

<閉会挨拶>
●山口佐賀県知事)今稼動している、していないかかわらず、佐賀県には玄海原発がそこにあります。使用済み燃料も同じです。我々は常にそれに向かわなければいけない。私は責任者としていつも考えている。
今ここになかったらということであれば、私の判断というものは決まっている。
今あそこに、佐賀県が受け入れた原発をどのように対応していくにか極めて重要で、我々の背負った大きな課題だと思っている。
ですから今日来ていただいた国や事業者にしっかりと、彼らの動向を注視し対応していかねばならない。
時間が足りないというのはよく分かる。申し訳ありません。様々な形でご意見を伺いたいと思う。


【2】2月22日、武雄説明会

参加者は1300人の会場に117人の参加者で、席がスカスカでした。
武雄市は原発30キロ圏にすっぽり入る伊万里市と隣接していますが、ちょうど30キロ圏から外れたところにあります。
早めに来ていた男性に聞いたところ、「区長会で話があって、関心持った人は行ってみて」ということで、それらしい年配の男性方が複数来ていました。
地元だけに積年の反原発の思いが前面に出た唐津とはまた違って静かめでしたが、そもそもの質問とあわせて、技術内容に立ち入った質疑もありました。
水蒸気爆発のことなど、報道も通じて、住民の前に問題が明らかになったこともあります。
会場外でのチラシ配布、今日もおつかれさまでした。
以下、印象に残った質疑を大雑把ですが書き記します。

●水蒸気爆発の問題が連続して質されました。
・質問)水蒸気爆発の危険性は?
・規制庁)相当な時間を割いて審査した。海外含めてかなり実験をした。水蒸気爆発が起こることは危険性は少ないということで確認した。
・質問)最悪の事態が想定するのが基本姿勢だと思うが、水蒸気爆発が起きた時にそれで耐えられるのかどうか確認しているのか。
・規制庁)水蒸気爆発が起きる想定をしていないので、その影響を審査で確認しているわけではない。 

 ※「水蒸気爆発想定 審査せず」は23日の佐賀新聞記事の見出しにもなりました。


●質問)株主総会だって3分。私達の命の問題です。1人1分に制限するこのやり方はなんだ?
・司会)公平に、ということで決めたルールなので...
・誰が決めたんですか!


●質問)会のやり方について意見がある。広報が不親切だ。情報をちゃんとおばあちゃんたちにも届けるべきだ。一方的に言われても理解できない。なぜ佐賀県が壇上にいないのか。
原発事故はとりかえしのつかないことになるが、なぜ再稼働か。「みなさん逃げてください」という計画をおしつけられているが、避難計画は国も九電も自治体を支援するというがどういうことか。
・エネ庁)資源にとぼしいわが国では安全性の確保を大前提に、エネルギーの安定供給。安全保障、発電コスト。エネルギー自給率、二酸化炭素...
・内閣)国が支援、財政的支援もしっかり...
・県危機管理報道局長)私が県として座らせてもらっている。国と一体となって、避難計画の向上を目指している。(※発言はこれだけ。名乗りもせず座っていただけ。)
・九電)事故を食い止めるためにしっかりやっている。お知らせの体制。細かい活動は国、自治体にやっていただいている。
・質問)逃げたくないと言っているんです。命と経済を一緒にしないでください。
・九電)とにかく安全運転に努めるということでございます。


●質問)「よろしくお願い」されたくない。原発は動かしてほしくない。再生エネルギーはたくさんある。
「放射性物質を抑えるための対策」といったが、「できるだけ」とはどういうことか。私は被ばくしたくありません。
・内閣)できるだけ浴びたくないというご質問ですが、計画では...
・九電)太陽光では夜はどうなるか、化石燃料の輸入に頼らざるを得ない。高いものより安いものだ。
・九電)輸入燃料が増えて、当社の経営も大変厳しい状況でして...


●質問)強行採決ならぬ強行説明会だ。こんな膨大な資料をいきなりわたされてもわからない。
●質問)再稼働するための説明会ではないか。安全なら東京の真ん中につくって!
・エネ庁)エネルギー基本計画に沿って...(以下同文)

 


【3】唐津と武雄での私達からの質問--「福島事故は終わっていない」「同意権問題」


①規制庁の基本姿勢。「福島原発事故は終わっていない」
唐津では、前半の質問の4番目に指されました。
委員長の姿勢を問うつもりで、チラシもつくって整理していたつもりでしたが、「1人1分1問」と言われ、頭を整理し直している間に指され、少し焦ってしまいました。
何せ、「スタート」「あと30秒です」「10秒前です」「終わってください」の大きなプラカードを持ったスタッフが1分間に4人、クルクル交代で出て来るんです!
市民をバカにしていると思いました。
クルクルプラカードは唐津では4枚でしたが、武雄では「あと30秒です」「終わってください」の2枚に減っていたのは笑えました。さすがに不評でやめたんでしょう。
福島のことがまだ質問でも出てなかったので、最初に福島のことを触れました。

●質問)1問ということで基本姿勢について問いたい。“福島原発事故に学んで”というが、原発事故は終わってませんよね?原子力緊急事態宣言は発令中ですよね?現場検証もできていないですよね?このことを確認したい。再稼働はありえないのでやめてほしい。
16日に佐賀新聞に田中委員長のインタビューが出たか、『5キロ圏外は被ばくしない』『心配する住民に我々は迎合しない』『住民は自ら勉強しなければならない』...住民をバカにしないでくれと言いたい。撤回してほしい。
『やらせなど一回染みついた文化は直らないと思う』、規制当局トップの発言として許せない。
・規制庁)福島は緊急時の状況が法律上も続いているのはそのとおりだ。調査もまだしているし、汚染水の問題もあり、緊急時の状態なのは、そのとおりだ。他方で、福島事故がどうしてあのようになったのかは、地震津波の影響であり、それをくみ取って基準をつくったのが今の状況だ。
委員長のインタビューは見ていないが、委員長はこれで安全だと思ったら慢心になってしまうからということで戒めている。
やらせについては、安全文化をきずくよう、委員長が社長とも会って話している...。

②知事の同意権放棄問題
武雄では、今後重要と思われる同意権問題に絞って質問しました。

●質問)国と九電と県に聞きたい。知事は14日の会見で「もともと地元同意なるものは存在していない、概念として存在しないことが国と確認された」と言った。県民の命を守るのが知事の一番の仕事と思うが、なぜ、みずから同意権を放棄するのか。国策であれば、唯々諾々と従うのか。昨日の新聞で知事は「今、同意権の話をすれば、再稼働と向き合う時間がなくなる」とコメントした。再稼働と向き合うからこそ、同意権を確立することが今こそ必要なのではないか。地元の同意もとらずに、再稼働を進めるのか。九電は川内の時には鹿児島県と薩摩川内市とで安全協定に基づく同意を得たじゃないか。なぜ違うのか。
・九電)鹿児島と佐賀とで同じ位置づけでやっている。同意とか同意なしと関係なく、ご理解を得て、再稼働したい。理解活動をしっかり進めたい。
・エネ)法令上は同意権というものはございませんで、再三申してますように「理解活動に終わりはございません」


再質問)昨年3月21日の佐賀新聞に市長町長へのアンケートでは16市町、8割が「地元同意の範囲拡大」を求めている。せめて30キロ圏に広げてほしいという意見、全市町に広げてほしいという意見もある。ここ武雄の小松市長も、鹿島市、嬉野市、多久市、杵島郡の全町、太良町、県南すべての市町が拡大を求めている。そういう声を、国と県はどう受け止めるのか。無視するのか。
・エネ・九電)(同じような答え)それぞれの地域の状況に応じて...
・副知事閉会挨拶)同意について、国が言ったとおりでございます。県民の理解が何よりも大切ですので、県民のみなさんにご理解いただきますようしているところでございます。
様々な意見があることは承知しておりますが、基本は何よりも県民の安全でございます。専門部会でも議論しているし、HP専用ページも設けたし、意見箱を各地に設置したところだが、意見を聴くというプロセスを大切にしていきたいと思っております。

※佐賀新聞で、出席していた嬉野市長の「はっきり言われて驚いた。事故が起これば我々も避難する立場であり、同意を取ってほしい」というコメントが掲載されました。

★説明会は推進側の“アリバイづくり”のすぎませんが、この機会に私達の「原発いらない」の気持ちをまっすぐ表明し、具体的な問題を質していくことで、その酷さを明らかにしていきましょう。

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■報道

◆佐賀新聞 (2017年02月22日)


玄海再稼働 唐津市で県民説明会始まる
住民から不安、疑問 国と九電は対策強調
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/407816
安全性懸念の声、続々 玄海再稼働県民説明会
http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/407895
「やらせ」後 初の大規模説明会 玄海再稼働
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/407894

◆佐賀新聞 (2017年02月23日)

【武雄で玄海再稼働に関する県民説明会 水蒸気爆発想定審査せず】