【九州電力、免震重要棟建設を放棄!】

12月17日、九州電力が川内原発の免震重要棟建設を放棄することを明らかにしました。
玄海原発についても「今年度完成予定」としていた免震棟の工事も、実はストップしています。

【1】川内についての報道と九電のプレスリリース

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◆報道ステーション
http://www.dailymotion.com/video/x3imm9s
瓜生社長「つくらないのではなくて、よりいっそういいものにしようとしているんです」
九電鹿児島市支社の会見「コストは関係なくはないと思いますけど、はい(苦笑)」
九電本店コメント「地震が起きても平常心を維持できるよう特別な訓練を重ねている。免震棟が必ずしもすぐれているわけではない」

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◆九電HP
「川内1,2号機の更なる安全性・信頼性向上への取組みに係る原子炉設置変更許可申請の概要」(2015年12月17日))(※「3.緊急時対策所の変更(1,2号機共用)」より以下抜粋)
http://www.kyuden.co.jp/press_h151217-1.html

3.緊急時対策所の変更(1,2号機共用)【図-3、5参照】
当初、「緊急時対策所の機能」と「それをサポートする機能(支援機能)」を持つ「免震重要棟」を設置することとしていた。
新規制基準で要求される「緊急時対策所の機能」は、現在運用中の「代替緊急時対策所」で満足しており、今回、自主的な取組みとして、支援機能を持つ「耐震支援棟」を同対策所の近傍に設置することとし、「代替緊急時対策所」の名称を「緊急時対策所」へ変更する。
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【2】玄海原発の免震重要棟建設も止まっている!

「免震重要棟は2015年度中の完成を目指す」と、九電は私達との交渉時にずっと言っていましたし、報道でもそのように言われてきてました。
しかし、11月にエネルギーパークに行った時に、どの建物か目視で確認しようと九電職員に聞いたところ、「工事は今は進んでいない。詳しいことは言えない」と、しどろもどろの返事。
その後本店にも確認してみました。

◆玄海発電所広報「構造含めて仕様を再検討中。工事は進んでいない。それ以上は言えない」
◆本店エネルギー広報課「免震重要棟は、他社の状況も踏まえて、仕様の見直しをしている。免震重要棟はそもそも規制要求で入っていない。すでにできている代替緊急時対策所は免震構造ではないが、耐震基準を満たしている」

上記のように、本店も今後どうするかをはっきり言わなかったのですが、工事が進んでいないことだけは分かりました。


【3】免震機能は新規制基準の要求事項であり、建設放棄は福島事故の教訓を無視するということ

免震棟と免震機能のない緊急時対策所について、九電自身が説明している資料があります。
◆「玄海原子力発電所3号炉及び4号炉 緊急時対策所 補足説明資料」(平成25年9月19日)
 https://www.nsr.go.jp/data/000034513.pdf
 この中で「免震機能」は新規制基準の要求事項であることも明記されています。

◆「基準地震動による地震力に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失しないようにする」
 <設置許可基準規則第六十一条(緊急時対策所) 技術基準規則第七十六条(緊急時対策所)>より

●「免震」機能と「耐震」機能は根本的に違います。
免震=建物と基礎の間に免震装置を設置し、地盤と切り離す。建物に地震の揺れを直接伝えない構造。
耐震=地震の力に対し、主の壁の強度を上げて耐える構造。建物が頑丈でも地震の揺れは建物内部に伝わる。2階、3階と上がるほど、揺れが増幅。
 
以下のHPの画像と動画を見てもらうと、その違いが鮮明に分かります。
 ★免震ウェブサイト★

●免震重要棟は2007年中越沖地震時の教訓に基づいて、福島第一原発に設置されました。

◆泉田裕彦・新潟県知事の発言
「07年の中越沖地震の時、柏崎刈羽原発の東電のサイトと連絡が取れなくなりました。ホットラインのある建物が地震で歪んでドアが開かず、入れなかったというのですが、地震の際、事故は複合で起きるわけだから、ホットラインが使えないと困ると、かなり言ったんです。もう知事、そろそろいいんじゃないかという話も多々ありましたけど、断固としてやってくれと言った。そうしたら造ってくれたのが免震重要棟なんです。あわせて、福島にも免震重要棟を造った。完成したのが、東日本大震災の8か月前でした。だからあの時、私がひよって、言うべきことを言わなかったら、あの福島に免震重要棟はなかったんですよ。免震重要棟がなかったら、いま東京に住めないんじゃないですか。」
[注目の人直撃インタビュー]泉田裕彦氏(新潟県知事)(日刊ゲンダイ2013/10/24)
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-10116.html

福島事故直後に当時の東電社長も「あれがなかったらと思うとぞっとする」と国会で発言しました(東洋経済 2015.4.12)


【4】免震重要棟の建設放棄は許されない

にもかかわらず、九電は免震機能を持った免震重要棟の建設をなぜ放棄するのでしょうか。
「免震機能“等”と書かれているから、免震機能がなくてもよい」というのは、完全なゴマカシです。
市民の命の安全を無視、福島原発事故の犠牲と教訓をも無視する暴挙をまたも重ねるのでしょうか。
玄海原発についても「今年度内に完成予定」などとしたままで、説明を何らしていません。
説明を求めるとともに、住民の命の安全を無視した再稼働の動きをただちに中止することを求めて、近日、九電本店に質しに行きたいと思います!


★追記

【九州電力本店交渉、1月20日(水)に!】

免震重要棟などの安全対策や使用済み核燃料などについて説明を求めるとともに、住民の命の安全を無視した再稼働の動きをただちに中止することを求めて、1月20日、九電本店と交渉の場を持ちます。
再稼働が迫っています。ぜひご参加ください。
参加できる方、事前に連絡をください!

★九州電力本店交渉(予定)
 2016年1月20日(水)13時半ロビー集合
            14時 交渉