5月27日の九電交渉報告です!

 5月27日、裁判の会では、九州電力本店と交渉の場をもちました。3月5日以来、2か月半ぶりです。

 

 まず、反原発・かごしまネット(向原祥隆代表)と連名で、「玄海・川内原発再稼働に強く反対する」要請書を提出。

 そして、前回に引き続き、重大事故時の安全対策や住民避難計画などについて質疑をしてきました。

 

 自分達の原発が事故を起こすというのに、住民避難計画の対象者数さえも答えられない。九電がやることは「通報する」ことだけ、あとは避難を「支援・協力」するんだそうです!あんたら、事故の当事者で、加害者になるんだろ!加害者と して当然の義務を「支援」って、どういうことか!

 福島の事故がなかったかのような無責任さに、驚き、あきれかえりました。怒りで、思わず声をあらげてしまう場面が何度もありました。

 

 また、原子力市民委員会でつくる「市民がつくる脱原子力政策大綱」(原子力市民委員会の10緊急提言)について、前回交渉時に提言の項目に沿って九電の見解を質しましたが、「コメントしない」ということでした。担当者が個人的見解を述べたにとどまりましたので、それをふまえて、今回交渉時も「玄海原発再稼働を容認できない技術的根拠に関する質問」とする質問状をあわせて提出しました。(質問状はこのページの下部)次回、回答をもらうことにしています。
※2014.6.5追記しました

質問・要請書はこちら

27日に九電本店に提出した質問・要請書です。

写真向こう側が九電の社員のみなさん。話し合いにまったく応じない佐賀県と比べると、形だけはちゃんと応じてくれますが、文書回答は絶対しないし、発言内容も福島の犠牲など関係ないかのような無責任なものばかりです。

 

 

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玄海原発・川内原発再稼働に強く反対する要請書

2014年5月27日

九州電力株式会社

代表取締役社長  瓜生 道明 様

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 代表 石丸初美

プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 共同世話人 野中宏樹

反原発・かごしまネット 代表 向原祥隆

 

 東日本大震災で事故を起こした福島第一原発は、3年を経過した今になっても、各原子炉の内部に近づくことすらできず、その時何が起き、何が主因となって事故が進み、現在どうなっているのかも全く検証されていません。福島第一原発の事故は、ひとたび原発が事故を起こせば、その影響が広範囲・長期間に及ぶことを白日の下にさらしました。また、同原発で溶融した核燃料はもちろんのこと、一般の原発から必然的に排出される膨大な「核のゴミ」についても、十万年もの間、安全な場所に隔離しておかなければならないことも広く知られるようになりました。

 「原発事故は起こらない」「もし万が一起きたとしても人々が生活を営む外の世界に高レベルの放射能が漏れ出すことはない」という安全神話は完全に崩壊しました。過去の安全基準は全く通用しなくなったために、新しい規制基準を作り直すことから、そもそもそこへ原発を立ててよいのか「立地審査指針」からやり直さねばならないことになったはずです。既設の原子炉にも新たな安全審査基準を適用しなければ決して稼働できないバックフィット制度も適用されることになっているはずです。

 こうしたことを併せ考えれば、再稼働をめぐる判断は、政権の一部や原発立地の一自治体および一電力会社の都合のみで、できる問題でないことは明らかです。

 私たちはここに、以下の理由をもとに、九州に在る玄海・川内の両原発再稼働に強く反対し、無期限に運転停止することを要請致します。

 

1.<甘すぎる基準地震動と基準津波>日本の原発耐震強度は日本で過去に発生した地震の規模に対して小さすぎます。 東日本大震災を想定するなら約3000ガル以上の耐震強度が必要ですが、日本の原発すべてが3000ガル以下です。玄海の基準地震動は540ガルとし、川内が基準地震動の設置変更許可(補正申請)で引き上げしても620ガルという状況、玄海3号機を見れば、原子炉が約988ガル、使用済燃料ピットが1080ガルを超えると、機器の損傷により燃料の冷却手段が確保できなくなるとの評価があり、津波について玄海3号機は、原子炉が13.0m、使用済燃料ピットが24.6mを超える高さの津波で燃料の冷却手段が確保できなくなるという結果が報告されています。大きな地震が起こる度に引き上げ修正行ってきた過去を振り返れば、想定が甘過ぎるということです。

2.<調査不十分、二重基準の活断層評価> 政府の地震調査研究推進本部は昨年2月、九電の活断層評価に根本的な疑問があることを明らかにしました。この地震調査委員会報告書には、複数断層の長さを、九電評価の2倍以上と大幅に見直し、地震の規模も最大11倍になると発表した上で、「今回の評価対象に含まれていない断層が活断層である可能性も否定できない」と、追加調査を求める言葉も書かれています。さらに、玄海原発の耐震評価のための調査で最近新たに発見された「城下南断層」は、活断層と見なされるのではないか詳しく検証が必要という地震研究者の声が上がっています。その延長には名護屋断層があり、これらを一連のものとすると、この断層で生じうる地震のマグニチュードは最大で7.2となると、この点でも今後の十分な調査が必要とされています。

3.<火山リスク無視の再稼働審査> 火山学者から、歴史をひも解くと何度も火砕流に襲われた川内原発は「立地不適」との声が上がっています。川内原発のわずか2km南には、5mの火砕流の露頭もあります。原発には核燃料があり、大量の放射性物質(使用済み核燃料に含まれる核分裂生成物や超ウラン元素、さらに汚染されたコンクリートや金属など)があります。九州でカルデラ火山の大噴火が起きると、川内原発、玄海原発、伊方原発の3つは確実に制御不能に陥ります。全電源喪失はもちろん、建屋はおろか、格納容器、圧力容器まで破壊され、メルトダウンした核燃料と大量の放射性物質が私たち居住環境の大気中にさらされるでしょう。チェルノブイリの7倍を超える放射性物質が飛散すると、大噴火の被害を越えて、ほぼ日本全土、朝鮮半島、中国の一部まで、100年単位で人が住むことはできなくなることも予測されます。

4.<避難計画は机上の空論>3.11福島原発事故を経験して、現在、国と自治体が考えている避難計画では、IAEAの基準に合わせてPAZ(予防的措置準備区域の5キロ圏内)とUPZ(緊急時防護措置準備区域の30キロ圏内)と段階的避難を取ることになっています。これを地域交通政策及び交通工学のスペシャリストが検証し、玄海原発に当てはめた結果、UPZの住民が避難し終わるには39時間余りを要すというデータが出ています。但し、これは整然と誘導されるように進んだ場合です。実際、福島ではそうはいかなかった、情報不十分ゆえに、「原発が爆発するかも?」「逃げろ!」車飛び乗り「走れ!」という異常な状況の中になって、さらには30キロ圏外の人々も逃げ出すでしょう、その数は計り知れません。福島原発事故の時に、アメリカ合衆国は60マイル(96km)圏内の国民に対し国外避難を呼び掛け、軍の関係者さえこの圏内から遠く離れるように指示しました。原発事故避難にはこのくらいの距離が必要で我が国の判断は甘過ぎます。30kmが危険で31kmはまだ大丈夫な理由はなく、放射能に柵を作ったり線引きなどできるわけがありません。

 命懸けの一刻を争う緊急時避難に事故を知り得た市民は、できるだけ早くできるだけ遠くに逃げたいのが心情で、風向きを見て同じ方向へ幹線道路は瞬く間に渋滞と混乱を起こすでしょう!イライラのストレスが高まり、車がUターンしたり逆走が始まるかも知れず、車やバイクや自転車などで混乱し、想像を超えた場面が生じるかも知れません。その時、要援護者たちや乳幼児や妊婦の方々はどうなるでしょうか?そもそも突発的な原発事故の時に被曝を避けて安全な避難などできないのです。机上の避難計画ゆえに、多くの人々が取り残され、誰かが切り捨てられ、遠く将来まで被害を被るはずです。

★<結論>原発の厳格な審査と住民避難計画は「車の両輪」と言っていたのが原子力規制委員会でした。万が一の原発重大事故の時に、安全な住民避難が100%完璧にできない限り、原発を動かすことはできないのです。こうした負担を住民や自治体に押し付けることになる貴社は、完璧な避難計画の策定について責任をもたなければなりません。

 去る5月21日、福井地方裁判所において「大飯原発3・4号機を運転してはならない」とする画期的な判決が出されました。その判決文において、『個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。我が国の法制下においては、これを超える価値を他に見出すことはできない。・・・原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである』と明確に述べられています。

 よって、私たちは誰もが保障されるべき人格権をもって、ここに、玄海・川内原発の再稼働を無期限で止めることを強く要請します。

質問・要請書のPDFファイルはこちら

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玄海原発・川内原発再稼働に強く反対する要請書
★20140527九電要請書(最終).pdf
PDFファイル 265.2 KB
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玄海原発再稼働を容認できない技術的根拠に関する質問
★20140527九電技術的根拠質問.doc
Microsoft Word 37.0 KB

前回交渉の様子はこちら

NHK佐賀

 新聞・テレビ各社が取材してくれました。

 NHKはいつもアナウンサーの読み上げ原稿だけでしたが、今回は珍しく、代表のコメントを音声で紹介してくれました。

原発の運転再開の前提となる安全審査が優先的に進められている九州電力に対し、反原発の団体が、佐賀県の玄海原発と鹿児島県の川内原発の運転を再開しないよう求める要請書を提出しました。要請書を提出したのは、原発に反対する佐賀県と鹿児島県の3つの団体です。要請書では、▼九州電力が想定している地震の大きさが小さすぎるとしているほか、▼火山の危険性を無視している、▼事故が起きた場合の住民の避難計画が机上の空論になっているとして、鹿児島県の川内原発と佐賀県の玄海原発の運転を再開しないよう求めています。要請書の提出のあと、質疑応答が行われましたが、九州電力は「原子力規制委員会の安全審査にしっかりと対応したい 」と回答し、議論は平行線をたどっていました。反原発団体の石丸初美代表は「九州電力は相変わらず、事故を起こした場合当事者になるという意識がなく対応に誠意が感じられない。こうした状況で原発の運転再開は認められない」と話していました。

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