3月5日九電交渉速報!

 3月5日、玄海原発裁判の会は九州電力本店に「再稼働は認められない」と要請・交渉の場を持ちました。(質問書はこのページの下部です)

 回答拒否、もしくは回答があっても主体性の ない他人事のような回答ばかり。

 放射能加害可能性企業に私達の命を預けることはできません!

 以下、速報です。

 

★前回交渉では1か月以内の回答を求めたにもかかわらず、途中催促したものの、139日も経っての交渉の場となったことについて、九電は陳謝。

 

原子力市民委員会の10の提言に対する反論なり見解を求めていたが、九電は回答拒否。課長が「個人的見解」を若干述べるにとどまった。

 

基準地震動二重基準問題、「武村式をなぜ使わないのか」については「裁判で係争中」を理由に回答拒否。この問題は国相手の行政訴訟の訴状で指摘しているのであって、被告九電の全基差止裁判ではまだ取り上げていないから、理由になっていないが、「回答できない」の一点張り。

 

「避難訓練」を住民に強いていることの責任を問うと、「住民への避難指示は国、自治体からすることになっているので、細かいところは把握していない。どういう問題があるかといわれましても...。できるだけの支援協力はしていく」。「そもそも原因企業なのに、『支援』ということ自体がおかしい」とグサリ。

 「規制庁からは何も要求されていないということか」と質問すると、「福島事故をふまえて、情報発信は国が一元的にやる、事業所は正確な情報をあげるだけ」と、まるで他人事。自治体の避難計画についても関与すべきだと要求。

 

★「過酷事故の想定では20分でメルトダウンと申請書にも書かれているが、その間に住民を避難させられるのか」と質問すると、九電は「メルトダウンの想定はしていな い。深層防護の観点からそういうケースの場合をいっているだけ」と詭弁。「事故が起きる想定しているくせに、想定していないとはどういうことか。3.11前の安全神話の世界に今もいるのか」と追及。

 「炉心溶融が始まったら、放射能がどう拡散するのか。住民はそこを知りたい。検討しているのか。具体的に示せ」と宿題に。

 

免震重要棟の代替施設としての緊急時対策所は、「規制委員会の要求があったからつくった」とこれまた受け身の話だったので、こちらから「柏崎の教訓から福島でも免震重要棟を建てていたことが役に立ったのに、全然教訓にしていないじゃないか。そもそも、福島では今でも労働者が被ばく覚悟で働いている。想像もつかないぐらいたくさんの人達が次から次に働いている。対 策所は人員が90名というが、それで足りるのか。対策所、重要棟、それぞれ何人入るのか」と追及。九電は「今はわからない」と宿題に。

 

フィルターベント5年猶予問題について、「そもそもベントはそもそも放射能を外に出すという話だが、住民にどう説明するのか。どんな設備をつけるのか」と質問すると、「まだ描けていない」と。それで再稼働というのはそもそもおかしい。

 

石丸初美代表の締めくくり発言

 東京電力福島原発事故から3年が経とうとしている。

 福島は正当な賠償もされない。賠償資金が足りなくなたら国民の税金から。

福島原発告訴団が訴えているような現場検証もしない、捜査もしない、責任が追及されていない。

 一方で労働者は被曝を強いられて続けている。放射 能汚染水は垂れ流され続けている。こんなことでいいのか!

 そして、九電が事故を起こすことを、私達がなんでこんなに考えなければいけないのか!こんなことに頭を悩ませたくないですよ。

 九電がもし原発事故を起こしたら、国は何もしない、被害者は救われない。東京電力と同じようなことに、九電ものっかかるんですか。

 あなた方は、そういう商品を出しているんです。

 私達が「100パーセント安全でなければ再稼働はありえない」というのは、そういう意味だ。

 社員のみなさんも家族がいるだろうし、私達と同じだろうと思う。

 国は何もしないんです。だから、九電のみなさんに頼んでいるんです。原発再稼働はやめてください!わかってください!

提出した質問書はこちら

「100%安全の無い玄海原発の再稼働はありえない」

に関する質問状

2014年3月5日

九州電力株式会社

代表取締役社長 瓜生 道明 様

 

          玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

代表 石丸初美

プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 共同世話人 野中宏樹

 

 東京電力福島第一原発は、まもなくあの爆発事故から3年が経過しますが、今も尚、原因究明・責任追及もなされないまま事故収束どころか、放射能汚染水漏れの事故は抜本的解決策がないまま、不可解な作業ミスなどタンクからの大量漏えいが後を絶たず、護岸の地下水の放射能濃度も上昇し海を汚し続けて、拡大の様相さえ示しています。福島原発事故の汚染水の実態が把握できていないのに、玄海原発が重大事故を起こした場合の汚染水対策がどうして立てられますか?

 「福島事故の教訓に学び、二度とこのような事故を起こさないために設置された」と理念をうたう原子力規制委員会が、貴社の玄海原発に対する新規制基準適合性に係る審査会合をしていますが、このような深刻な緊急事態の問題解決なくして、国民の声を無視して合格など出せるはずがありません。また、「世界最高水準の安全な原発にする」と豪語する瓜生社長の発言からして、原発過酷事故の影響を受けるかも知れない住民の声を無視することは決してできないはずです。

 前回2013年10月17日に貴社との交渉の場を持ち、未回答分および検討課題が残った為に、私たちは、直ちに40日以内の回答要請をしてきましたが、またも待たされ続け今日まで139日が経過してしまいました。私たちは以下の質問の通り、「100%安全の無い玄海原発の再稼働はありえない」と考えています。

 

1.福島第一原発の事故調査検証は、全く終わっていません。私たちは、それが終えたかのような貴社の玄海原発再稼働申請の中で、あたかも事故原因には地震は関係なく津波のみであったかのような態度を取り続け、審査を受けていることに納得していません。津波と地震について質問します。

 

1)基準津波について、玄海原発に限らず大飯の断層群では三連動なども考えられる中にあって、「二つの断層群の連動は考えにくい」と簡単に述べていますが、その理由と根拠を説明してください。

 

2)貴社は昨年12月の審査会合において、北海道留萌支庁南部地震データを元に585ガルを妥当と認めました。しかし、未だに玄海原発の基準地震動の540ガルを変えていません。1995年 阪神大震災 M7.3・震度7・ 800ガル、2004年 新潟県中越地震 M6.8・震度7・ 1700ガル、2011年 東日本大震災 M9・震度7・ 2933ガルとなっていますが、現在の世界最大の地震による加速度は、岩手・宮城内陸地震(2008年6月14日)の際に岩手県一関市厳美町祭畤で観測した4022ガルであります。これを考えますと4000ガル以上の耐震強度を持つことを考慮しなくてはならないのではありませんか?これまで、貴社の資料では耐震破壊限界クリフエッジは二倍まであると述べていましたが、540ガルの2倍なら1080ガルですので、問題外です。

貴社は、言葉ではどこでも起こりうる最大規模の想定をし、耐震計算をやり直すと述べながら、従来の基準値さえ変えていない、これは一体なぜですか?

3)国の対応でも問題になっているのは、電力各社の申請で基準地震動と基準津波の評価が二重基準になっていることです。ここでは、津波の波源評価では土木学会「武村式」を使用しながら、地震の評価では「入倉式」を使用して使い分けていますが、地震においても日本の地震データを基準として評価する「武村式」を使用すれば、なんと4.7倍まで跳ね上がるのです。瓜生社長の言う「世界最高水準の安全な原発を再稼働」、さらに、根本から耐震計算をやり直す必要があると思いませんか?評価基準の使い分け、これはなぜそうしているのか?お答えください。

 

2.貴社は、玄海原発再稼働申請に際し、30km圏内の県内外自治体に対し、その要望に応じ事前説明会を開くことも、市民に対してはその内容を示し意見を聞く公聴会を開催することもしませんでした。そもそも、電気料金の値上げ申請に関する意見交換会などで明らかになったように脱原発を求め意見書を提出した市民が大勢居ることを承知しながら、それを無視する姿勢に私たちは納得できません。

原発事故、住民の防災・避難安全について質問します。

1)原発事故が起きてしまったら、地域住民に莫大な犠牲を強いることになりますが、その責任は第一に事業者にあることは原賠法と政府の定めるとおりです。莫大な費用を要する避難訓練を自治体や住民に強いているのも原発事故を起こしてしまった事業者責任と言えますが、それらの責任をどう感じていますか?原発避難訓練を協力支援するとも貴社は述べていますが、どのような協力をしていくつもりか、費用面の支援なども含めて説明してください。

2)避難訓練においても、傷病者の避難、避難時負傷者の発生、高齢者や障がい者など要援護者の対応等々、難しい問題が山積みと思われますが、原発事故避難にはその他どのような問題があるのでしょうか?貴社の見解を聞かせてください。

3)事業者としての貴社は、避難訓練などは県・地元自治体がやっていることだと局外にいて成り行きを傍観しているようだという市民の声が聞こえます。もし、九電内部の原発防災訓練の対策実施以外に、立地自治体及び30キロ圏内外の自治体避難訓練・防災訓練に責任を果たしていることなどがあれば、説明してください。また、昨年の玄海町・唐津市の避難訓練の様子を報告や報道などで振り返って、事業者として、どのような感想を持ち、評価されているのかを述べてください。

4)本年1月、原発立地自治体並みの安全協定を求めている伊万里市波多津の区長会に対して、「難しい」「できない」と九電武雄営業所は答え、「社長・本部に伝える」としていましたが、どのように検討しましたか?同地区は、原発から12km~20kmに人々が住み、福島の事故を受けて絶対安全はないと貴社も発言している今、私たちは安全協定こそ当然の権利と思いますが、なぜ拒否できるのか?理由を述べてください。

 

5)貴社の福島級の重大事故シナリオでは、事故から20分後に炉心溶融が始まり、事故から約90分後にはメルトスルーが始まるとなっています。その時、安全協定などルールに則って国や所轄官庁など必要連絡先に約何分で連絡することになっていますか?

 

6)30km圏内からの避難は、整然避難を前提として、20時間から最長39時間かかるデータがあります。九電は、避難訓練などにも県や自治体に協力・支援を約束すると表明しました。そこで、原発を維持管理している立場として、福島級の重大事故が発生した場合、この時間内に安全に避難が完了できると思えますか?メルトダウンが始まったと確認し、爆発、格納容器の破壊による放射能大量放出に至ってしまうまで、緊急時避難にどんな支援をするつもりでいるのか説明ください。

7)もし、前問6)の場合に遅れ逃げ切れず、住民が被ばくを避けられないことが分かったら、貴社は事業者としてどのように行動し対処しますか?

 

3.わたしたちは、「二度と悲惨な原発事故を起こさないために、国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」という理念と活動原則を持った原子力規制委員会によって、九電など原発事業者が独善的な再稼働の道を進まぬように安全審査会合が開かれていると思っています。世界最高水準の安全性を目指す玄海原発に対する「新規制基準適合性に係る審査」に関する質問に答えてください。

1)免震重要棟のお蔭で福島原発にて働いていた東電職員も下請作業者たちも難を免れ、事故を止める手立て組み作業を続けることができた、「あの棟がもし無かったとしたら空恐ろしいことが拡大していったのでは・・・」との原発労働者の声がありました。現在、再稼働を前提に免震重要棟の建設を猶予し、緊急退避所で代用することにしたが、それも再稼働の後で完成させると申請しています。これは、許されない緩和で、シェルターを作る前に爆撃を受けることを無視する策と同じようなことです。これまであった玄海の宿舎を利用して改造するという緊急退避所は、どのような部分において免震重要棟と同じ機能を有し、どのような点が劣るのか?すべてを説明してください。

2)原発は五重の壁で守られているから絶対安全、放射能が外部に漏れることはない、というのは3.11震災前の過信で間違いでした。いざ、過酷事故に陥ったら燃料の溶融は止められず、放射能は外部に放出されるというのが、国や事業者の弁です。そこで万が一の時に、水素爆発などを避けるためのフィルターベントによって放射能の希ガスを放出することになりますが、加圧式である玄海原発は全く大丈夫でフィルターベント設備は予備のような5年間猶予を求めています。これは、瓜生社長の発言と矛盾していますが、「世界最高基準の安全対策を取る」とは何を指すのか?万が一事故が猶予期間で起ったらどうするのか?バックフィットの原則に照らして回答ください。

3)今や地震などによる原発事故発生時には、汚染水の発生、水漏れ対策は必須の課題です。世界一の地震国とも言える我が国で、基準地震動を見直し耐震課題をクリアしなければ原発は稼働できないはずです。すでに存在する原発建屋及び設備の老朽化は深刻な問題です。原発内を縦横無尽に網羅される無数の配管は、連結部、溶接部の健全性は本当に定期検査で完全なチェック、補修が出来ているのでしょうか?一度起きたら、福島のように汚染水は地下に浸み込み海洋放出は止まらず、未だどこから漏れるか分からないままです。玄海の場合、汚染水が地下から海へ流出しないようにする防止対策を説明してください。

4)もうひとつ、水漏れ対策についてです。タービン動補助給水ポンプは、3号機は海抜マイナス9. 7メートル、4号機は海抜マイナス2メートルの高さに設置されていますが、取水口や配管用の洞道(地下トンネル)等から浸水する可能性はあるのではありませんか?過去に同様の水漏れ事故が福島第一、女川原発でも起こっています。全交流電源喪失事故の際には、タービン動補助給水ポンプが生命線になるようです。津波や地震対策として、海抜以下の場所は最も不適当、安全なように地上の階に設置すべきではありませんか。回答ください。

5)貴社は、過酷事故時、「原子炉圧力容器には敢えて何も処置しないで、核燃料をメルトダウンさせる」~指をくわえてメルトダウンさせて、格納容器への水の注水に臨むと回答しているが、この姿勢に変わりないのか回答ください。

また、このメルトスルーを想定しているのであれば、『コアキャッチャー』を格納容器の底に設置する必要があるのではないですか?近年、欧米では、当然の策として設備され、溶け落ちた核燃料が冷却水プールへと導かれます。なぜ、計画に無いのか、回答ください。

 

4.その他、前回の持越し質問回答ならびに、継続的な以下の質問にも回答ください。

 

1)動かせば、溜まり続ける使用済み核燃料、あと3年足らずで稼働できなくなります。

この問題をどうするのか?リラックキングという方法で燃料プールの間仕切りを狭めるのは、究極に安全余裕を削ってゆく「禁じ手」だと思いますが、現在どう考えていますか?

 

2)玄海で一番老朽化の進んだ1号機の脆性遷移温度98度の件、貴社は、「信頼できる中立機関『電中研』で調べたので、その他公的機関での検証はするつもりがない」と回答。電中研を中立機関と説明できる根拠を述べてください。

 

3)原子力損害の賠償については、法において、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めを負うこととされています。これまでの貴社の説明では、原子力損害賠償支援機構法においても、資金援助など得られるので賠償に応じられると回答しましたが、福島級の過酷事故が玄海で起きた時に本当に賠償の責任を負えるのですか?見込み損害賠償額の計算根拠を示して、国に頼らず強いては国民の血税に手を付けない方法を分かりやすく説明してください。

 

4)玄海原発では、定期点検など作業で使用した機械・材料・道具・衣服など消耗品を燃えるゴミと燃えないゴミを処理し、分類貯蔵保管していると聞いています。その可燃処理の方法も、希ガスの排気状況も周辺環境を充分考慮して作業していると聞きました。どのように考慮し慎重に為しているのか、わかりやすく焼却貯蔵管理の事態を説明してください。

 

5)前回の持越し回答事項

★原子力市民委員会<新規制基準問題点と方策10項目>につて貴社の所見

★「非常用発電機」に「備畜燃料タンク」から燃料を供給し続けるために、配管自動輸送方式を止め、タンクローリー車方式にする件

 

 

 この間の原発関連の様々な状況に変化に即して、以上の通り質問を提出していますので、真摯に向き合って、今日ここでできる限り即答頂きますようにお願い申し上げます。

 

質問書Wordファイル

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2014.3.5 九電100%の安全質問(最終版).doc
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